今は大阪だけでないけれど、ターミナルの人通りの多いところで、写真のようなA4版の雑誌を掲げて売っている主に小父さん達に出会います。
雑誌「the BIG ISSUE 」はホームレスの人達の仕事を作り応援するのを目的に、イギリスで始まったシステムです。読者層を30代前後という編集方針で作られています。
月2回発刊のこの雑誌(定価200円)を売ることにより、小父さん達は一冊当たり110円の収入になります。その労働の対価を生活資金や住むための基金にしていこうというコンセプトで始まりました。
雑誌の電車の中でも読めてしまう位、薄い物ですが、内容は定価を超えていると思います。例えば、映画スターや、ミュージシャンへのインタビュウーに、最新号の特集の「今心を考える」で語られている内容に、今の問題にどう向き合うべきか。あるいは、何が必要かが簡潔に語られていて、しかも、書き手の気づきが、私への問題提起になっています。
そんな雑誌を売っている小父さんの所で、友人が売り手の小父さんを観察していると、少しも「売る」という気持ちが感じられなかったそうです。
そこで、友人Kさん「どうしてもっと大きな声を出して売ろうとしないの?」
小父さん「大きな声を出すといやがる人がいる;、初めは出すようにしていたんだけど、売れへんし・・・」
Kさん「そんなんあかんは、チョット貸してみ」
と、雑誌を掲げ大きな声を出して売り始めました。「BIG ISSUEの最新号、200円です」
Kさん「もっと明るい声で、楽しそうに売らんと、売れへんよ」
小父さん「有り難う、やってみるは。姉ちゃん、また来てな!」と言ってくれてさようならしたそうです。
次に行くと、小父さんが「この間、有り難う。あれ以来、売り上げ増えてん」と嬉しそうに報告してくれたとか。
話を聞きながら、彼女の勇気に、彼女の素晴らしさを再認識しました。私も買うけれど、それは、買うだけ。それだけの私から見れば、彼女は、小父さんに大きな勇気を与え、小父さんの心を明るくしました。
もし、売っているところを見つけられたら、一度は買ってみてください。キット、内容に満足されると思います。ボランティアとしてではなく、良い雑誌に巡り会う機会だと思って。

