電車で正倉院展 の吊り広告を見ると、毎年、文化の日を中心に約2週間の、奈良国立博物館の恒例行事がやってきたのを知り、何時行こうかとスケジュールを立てます。正倉院2  


 まるで年中行事のように、正倉院展を見にいっていると、今年始めてみる品はむしろ少なく、前にも見たなと思い起こしながら、しかも、尚その美しさに魅せられ飽かずに通っています。そんな魅力を持った展覧会です。


 今年の工芸品のハイライトは、碁盤と象牙を赤と藍に染め、それぞれに鳥を彫り込んだ碁石。碁盤も優雅ですが、碁石は、見ている人が、イヤリングにしたいと言っているのが聞こえましたが、私も同感。可愛い。

 平螺鈿八角鏡の背面には、今も色あせない貝と半貴石の一面に花柄を施した豪華な鏡など、そのデザインは今も通じるかと思います。8世紀の奈良時代、東大寺の落慶法要時の道具や、聖武天皇遺愛の品々のある物は、西域のトルコやペルシャからシルクロードを通って運ばれ、あるいは、インドやインドシナから、中国や朝鮮半島とその招来品の何と国際的、そして、その技術の素晴らしいことだろうと、それだけでも感激してしまいます。


 見終えて帰るときには、心の中でしっかりと来年のスケジュールの中に入れようとそんな満足感を抱いて、博物館を後にします。


鹿が啼いていました。

鹿