ザクロ(石榴)の実がはじけながら、枝にぶら下がっています。ザクロは濃い緑の葉の間から、真っ赤な花を覗かせる頃から、実がなるまで、その折々を楽しませてくれ、この辺りでは庭木として植えられているのをよく見ることが出来ます。
ザクロの実は、子孫繁栄のシンボルと古くから見られてきました。それは、固い皮の内側にルビーのような赤い果実がひとつひとつ種を包んで沢山詰まっているところから来たのでしょう。
一時、石榴のエキス飲料がとてももてはやされ、店頭に並んでいましたが、国民生活センターで検査したところ、市販品に有効成分が殆ど含まれていなかったと発表されました。
ラットでのテストでは石榴のエキスを服用することで女性ホルモンのエストロゲンの働きを助ける効果があると言うことです。
昔は、多産が家庭にとって喜びでした。石榴はその形から多産の象徴とされてきたのもうなずけます。
生で食べるとかなり面倒で、一粒一粒口の中で実と種を分けて、少し酸っぱいのを我慢しながら食べた覚えがあります。この頃、カリフォルニア産の大きな実を店頭に見かけ、1度は買いたいと思うのですが、あの酸っぱさを思い出して、未だ手が出ません。日本産と違って外側も赤い色です。
ずーっと前、私は少し織物を習っていました。ほんの少しの間でしたが。
その時、白い絹糸を買い、石榴の実をご近所でいただき、其れを煮出して染料とし、染めた糸で帯を織りましたが、今の生活では帯を使うことがありませんので、上着にしました。今でも大切に持っていて、思い出したように着ています。私の中では、是が黄金色に見えるのですから、愛着って面白いですね。
見ていただくのは、少し恥ずかしいのですが、しっかりとした織物ですので、張りがあってとても素敵に着ることが出来ます。そして、不思議なことには、植物染料で染めた物はどんな色にも綺麗にあってくれることです。
薬効・用い方
ザクロの果皮には多量のタンニンが含まれていて、下痢、止血の目的で1日量3~5グラムを煎じて3回に分けて食間に服用します。
大量に服用すると、腹痛や嘔吐(おうと)などの副作用があるので注意が必要です。
中国では、子宮頸がんの治療に果皮と種子を砕いて服用しています。
生の根皮と乾燥した石榴皮(せきりゅうひ・根皮)は、油状物質のイソペレチェリンなどを含有していて、条虫駆除の作用があり、石榴皮(せきりゅうひ・根皮)25グラム、水0.3リットルを半量まで煎じて服用します。
この煎じ液は、胃の粘膜を刺激する作用があるので、胃炎などの症状がある場合には用いてはいけません。
果汁液は、水虫、たむしに患部に塗布する
その他
ザクロは、漢名が、安石榴(あんせきりゅう)、石榴(せきりゅう)といって、原産地はペルシャからインド西北部とされています。
ザクロの名前の由来は、中国の古書に、漢時代(紀元前2世紀)の武帝の命により、西域に使者として張鶱(ちょうけん)という人が、安石国(あんせき・現イラン)から種子を持ち帰ったとされ、安石(あんせき)とは安息という意味で、ペルシャから渡ってきたザクロの果実が瘤(こぶ)のように見えることから、安石瘤(あんせきりゅう)と名づけられました。
和名の「ザクロ」も、瘤(こぶ)は榴に変わり、略され石榴(せきりゅう)の音読みであって、ジャクロから、ザクロに変わったとされています。古くに中国から渡来したものです。
日本には、薬用の目的で渡来したもので、幹や根の皮には、アルカロイドなどが含まれていて体内の寄生虫駆除に用いられていました。
戦後までの日本には寄生虫が多く、ザクロ皮として寄生虫駆除の重要な生薬でした


