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「たぁっ!」

「はぁっ!」

二人は一歩も退かずに鍔ぜり合う
互いの体中には傷が無数についていた

「スタン・・・・・」

ルーティが心配そうな声をするがスタンには聞こえていない
それ程今は集中していた

目の前にはかつて自分を負かした天才少年剣士
リオン・マグナスがいたからだ

対するリオンはスタンの剣技の上達に内心驚いていた

(ふっ・・・・・これほどとはな)

初めて出会った時はまだうまくディムロスを扱えず自分に完膚なきまでにやられていた

だが数ヶ月でここまで上達するとは予想外だった

元々素質があるのは気付いていたのだが自分の予想を遥かに越えていた

(だが負ける訳にはいかない・・・・・!)

そう
負けられない理由がある
彼女・・・・・マリアンを助ける為に

「裂空斬!」

「臥竜閃!」

スタンが空中を縦に回転しながら突っ込んでくる
対するリオンも空中に飛び上がり二刀を交差させた

ギィィン・・・!

ソーディアン同士がぶつかり合う
が、二人にダメージはない
「月閃光!」

「獅子戦吼!」

リオンが三日月状の剣閃を描く
対するスタンは獅子を模した闘気を拳に集め放つ

しかし互いの攻撃は当たらず相殺され、すかさず二人は距離をとった

「「爪竜連牙斬!」」

互いが同時に技を繰り出す
リオンのほうが速さが優っているがスタンも力任せに振るっているのか中々当たらない

「せぃっ!」

「でりゃぁっ!」

最後の一撃がぶつかり合うがこれも二人の体には当たらない
リオンが反動を利用し距離をとり詠唱に入る

「スタン!!」

「わかってるよディムロス!!」

そのすぐにスタンも詠唱に入る

「覚悟はできたか!」

「燃えろ!」

互いの掛け声が引き金に晶力が限界まで高まった

「デモンズランス・ゼロ!」
「エクスプロード!」

リオンの放った闇の槍と闇弾がスタンを襲う
スタンも前方に巨大な爆発を起こす

互いの術が相殺されあいその衝撃で二人は吹き飛ぶ

「ぐぁ・・・・・!」

「がはっ!」




それを二人を介抱していたルーティは見ていたが自分は入れない

スタンの目には自分が止めてみると感じさせる強い意思があったからだ

「ルーティさん・・・」

「すまない、もう大丈夫だ・・・・・」

フィリアとウッドロウが起き上がる
二人ともルーティの回復術のおかげで傷が最小限に癒えていた

「援護します、スタンさん・・・・・」

フィリアがクレメンテを構えようとした時、ウッドロウがそれを制した

「待て、フィリア君」

「ウッドロウさん・・・・・」

「・・・・・あとはスタン君に任せよう」

「ですが・・・!」

「彼なら大丈夫だ、そうだろう?ルーティ君」

「・・・・・うん」

ルーティは答える
理由はわからないがそんな確信があった

(スタンならきっと・・・・・)


二人は未だに切り付けあっている
実力はほぼ互角だが実戦経験の差から若干リオンが有利とみえた

「ハァ、ハァ・・・・・」

「ゼェ、ゼェ・・・・・」

二人ともが体力に限界を感じていた
互いに譲らない剣の技量、術の扱い
正に互角の勝負だった

「決着をつけるぞ、スタン・・・・・!」

「あぁ、そうだな・・・・・リオン!」
再び二人のソーディアンに晶力が収束する
術のぶつけ合いではなく己の剣技をぶつける為に

まずはスタンが仕掛ける

「おりゃぁぁぁぁ!」

「ぐっ!」

炎を纏ったディムロスで重い一撃を放ちリオンはそれを防いだ

・・・・・かに思えた

「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」

凄まじい、それでいて激しく重い攻撃にリオンは体勢を崩した
間髪入れずにスタンは攻撃を入れる

「殺劇・・・・・舞荒剣!!!」

凄まじい紅蓮の剣撃と蹴りがリオンを襲う
耐え切れずリオンは無防備な姿を曝した

「・・・でりゃぁぁぁっ!!!」

とどめの一撃がリオンを襲った
堪らず壁に叩きつけられる

「ぐはっ・・・・・!!」

「リオン・・・・・」

スタンは力無く構える
対するリオンは片膝をつき肩で息をするのがやっとだった

(負けられない・・・・・僕は、負けるわけにはいかないんだ!!)

そう自分を奮い立たせ立ち上がる
その姿にスタンは驚愕した

「もうやめろリオン!それ以上は・・・・・」

「黙れ・・・・・、まだ、まだだ!」

そう宣言するとシャルティエに晶力が集まる
スタンは構えるが先程の攻撃に全力を出したのか力が入らない

「スタン!無理はするな!」

「あぁ、わかってる・・・・・」

スタンは自分に言い聞かせるようにディムロスに言う

「はあぁぁぁぁっ!」

「!」

歯を食いしばりリオンの出方を伺う
そしてリオンが仕掛けた

「魔神剣・・・・・刹牙!!!」

そのまま自身の剣圧に乗せた晶力を放つ

「なっ!?」

スタンはシャルティエに蓄積され、放たれた晶力の大きさに耐え切れず体勢を崩す
間髪入れずリオンが一撃を入れた

「過去を・・・・・断ち切る!!!」

「ぐぁっ!!!!」

耐え切れずスタンはルーティ達もろとも壁に叩きつけられる

「僕は・・・・・負ける訳にはいかないんだ・・・スタン」

呟くように言ったその声は、シャルティエにも聞き取れない程小さく、儚かった

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