那珂「那珂ちゃんが先なの!!」
羽黒「那珂ちゃんずるいです!!私だって最初がいいです!!」
那「羽黒ちゃんのケチっ!!」
羽「那珂ちゃんの分からず屋っ!!」
那羽「フンッ!」
初風「ちょっとちょっと、どうしたのよ一体?」
那「あ、初風ちゃんっ!!聞いてくれるー!?」
羽「初風ちゃん!!那珂ちゃんってばひどいんですよ!!?」
初「ちょっとちょっと、二人同時に言われても分からないわよ・・・。一人ずつ言ってちょうだい。」
那「はいはい!!那珂ちゃんが先に羽黒ちゃんに大好きって言いたいのに羽黒ちゃんがダメって言うのー!!」
初「・・・はい?」
那「だーかーらー!!那珂ちゃんが羽黒ちゃん先に大好きって言いたいの!!なのに羽黒ちゃんが先に言うのは私だって、那珂ちゃんは後って言ったの!!」
初「・・・つまりどう言うことなの羽黒?」
羽「あのですね?私と那珂ちゃんでどちらが先に相手に大好きって言うかで話してたんです。いつも那珂ちゃんが先に大好きって言うから、たまには私が先に大好きって言いたいって言ったのに那珂ちゃんが聞いてくれないんです!」
初「・・・はぁ」
那「ダメなのー!!那珂ちゃんが先に大好きって言うのー!!」
羽「那珂ちゃんはいつも先に言ってるじゃないですか!!ずるいです!!」
那「那珂ちゃんが先っ!!」
羽「私が先です!!」
初「・・・全く、だったら二人同時でいいじゃない」
那羽「えっ・・・?」
初「同時に言えばどちらが先か後かなんて関係なくなるでしょ?・・・というか、こんなことで喧嘩するんじゃないわよ全く・・・」
那羽「初風ちゃん・・・」
那「・・・羽黒ちゃん」
羽「・・・那珂ちゃん」
那羽「大好きっ!」
那「・・・えへへ」
羽「・・・うふふ」
那「羽黒ちゃん・・・。さっきはごめんね?那珂ちゃん自分のことしか考えてなかった・・・」
羽「・・・いいえ、私の方こそ言い過ぎてしまって・・・ごめんなさい那珂ちゃん」
那「羽黒ちゃん・・・。ありがとう、大好きっ!」
羽「こちらこそありがとうございます。大好きですっ!」
(コンコン)
「入れ。」
「…失礼する。」
夕方、西日が差しこむ執務室に一人の艦娘が訪れた。腰まで届く銀色の髪に吸い込まれるような蒼い瞳、透き通るほど綺麗な白い肌、スラリと背の高い彼女の名は...
「Верный(ヴェールヌイ)、本日、本時刻を以て着任する。」
「よく来たな...待っていたぞ。」
執務椅子に腰をかけた提督は静かにそう答えた。窓から射す西日のせいでВерныйからは提督の顔を窺い知ることは出来なかったが、言葉の端々から察するに、微笑んでいる。そう彼女は思った。
「ずっと待っていた…君が来るのを…ずっと…」
提督が静かに呟く。どこか寂寥を帯びたその声にВерныйは約束の時間に遅れてしまったのではないかと思った。もし、待たせてしまっていたのならそれは素直に詫びねばならない…。真面目な性格の彼女らしい考えだ。
「待たせてしまったみたいだな……すまなかった。」
「いや、遅れてなどいないよ…。そう、そうじゃないんだ...。」
謝罪するВерныйに提督はそう返す。遅れたわけではないのに、待たせた?一体…。彼女は提督の意図するところがよく分からずにいた。 そんな彼女に対して提督は続ける。
「私はあの日からずっと待ち続けていた…。この日を、この時を。君とまたこうして会えるこの瞬間を。…君にこの言葉を伝えるために…。」
「提督…あなたは…。」
提督が立ち上がり、帽子を脱いだ。西日の向こう、Верныйの瞳に映る彼の姿は…
「おかえり、響。」
「ALLEN…提督…!?」
響、かつてのВерныйの名。
第六駆逐隊に所属し各戦域で活躍するも、終戦後、敵国に賠償艦として譲渡された。
大戦の中で共に戦った第六駆逐隊の仲間を次々に喪った彼女にとって、敵国に渡る事は死にも勝る屈辱だった。しかし、自らが譲渡されることで愛する祖国を守れるのなら…。
ただ、その一念で彼女は敵国へ渡る事を決意した。
ALLENはその当時の響の上官であった。彼もまた響の譲渡を屈辱に感じ、彼女が渡って行くその姿をただ見つめることしかできない自分の無力さを恨んだ一人であった。
自分にもっと力があれば…彼女を守れるだけの力があれば…!!
ALLENはその想いを胸に、再び彼女が祖国に戻れるよう、軍を離れ、外交史となり折衝を行ってきた。長く地味で根気の必要なその努力の末、遂に響を祖国 の元へ返還することになる。彼女をずっと想い続け、けして短くない時を過ごした彼にとって、この瞬間はまさに待ち望んでいたものであったのだ。
一方、響は二度と踏む事は出来ないと思っていた祖国の地に降り立つことに戸惑いを感じていた。彼女にとって、護るべき存在はもう無く、迎い入れてくれる存在はいないのだから…。そう、なぜなら自分はすでに敵国の艦娘なのだから…。
しかし、提督は言った。Верныйではなく、響と。
かつての自分を知る存在はもういないと思っていた彼女にとって、その一言は衝撃だった。けしてかけられる事はないと思っていた一言。もう二度と会う事はないだろうと思っていた、彼の一言…。その時、ふと自分の視界が歪んでいる事にВерныйは気付いた。
それが自分の涙によるものだと分かった時、彼女は初めて自分が泣いている事に気付いた。第六駆逐隊の最後の仲間、電を喪ったときに涙は全て枯れ果てた…。そう思っていたのに…。
「響が譲渡されてから、いつかこうしてまた会える日が来る事を信じてずっと待っていた。」
ALLENもまた静かに泣きながら、そう呟いた。
「司令官…」
その時、Верныйは西日射す彼の周りで自分に笑顔を向けてくれる第六駆逐隊のみんなの姿を見た。幼い姿の彼女たちは、口を揃えて言った。
「響、おかえり。」と…。
「みんな…どうして……うわああああああああ!!」
在りし日の日常を、出撃を終え、母港に帰ると真っ先に迎えてくれた彼女たちのおかえりの声を思い出したВерныйは泣き崩れた。
その涙は、蘇る温かな思い出の風景はもう二度と戻らないと悲嘆する涙か、再びここで在りし日の思い出と向かいあえた喜びの涙か。
ただただ泣きじゃくるВерныйをそっと抱きしめ、ALLENは言う。
「もう君を一人にはしない...。もう君に孤独を味あわせない…。もう君は一人じゃないんだ…。これからは、二人で歩もう。」
「司令官っ!!司令官っっ!!!」
しがみついて泣く彼女を、ALLENはぎゅっと抱きしめた。
抱きしめたその背中は、成長した今でも変わらず小さく、弱く、それでいて温かな響そのものだった。
どれくらいの時間が経っただろう、差し込む西日はとうに消え、空にはきれいな月が浮かんでいた、そんな頃。Верныйは静かに泣きやんだ。
「もう、大丈夫か?」
「うん…すまなかった…。」
子供のように泣きじゃくったのが恥ずかしかったのだろうか、Верныйは伏し目がちにそう答える。心なしか、月に照らされる顔が赤いような気がする。
「よかった。」
「その…спасибо(スパシーバ)。」
「うん…。」
「響...、君に渡したいものがある。」
真剣な顔をしてALLENが言う。
「渡したいもの…?」
腑に落ちない様子のВерныйの前で、ALLENはポケットからあるものを取り出した。
「それは…」
「さっきも言っただろう?これからは二人で歩もうと…。響、僕と結婚してくれないか?」
指輪が月の光に照らされてキラリと光った。
「司令官……えっと…」
言い淀むВерныйに不安な表情を見せるALLEN。
「もしかして…嫌、だったか?」
「い、いや!そうじゃないんだ!!…その…。…愛とか恋ってよく分からないんだ…。」
愁いを帯びた顔でВерныйは答える。
「大戦中も、賠償艦で向こうに渡った後も、出撃と訓練ばかりで、他の事に気を割くなんて出来なかった…。だから…」
「…そうか。」
今のこの子に言うべき事ではなかったとALLENは一人後悔しながら指輪を仕舞った。
「…変なこと言ってすまなかったな。さっきのは忘れてく…」
「ま、待って!!…待ってくれ…」
「響…?」 大きな声を上げたВерныйに驚いたALLENは二の句を継げなかった。
「た、確かに私は愛や、恋を知らない…。…でも、さっき司令官に結婚しようと言われた時すごく嬉しかったんだ。でも…、愛や恋がなんなのか分からないまま結婚するのはなんていうか…司令官に失礼な気がする…。…だ、だからっ!……だから……。」
「だから?」
「えっと…その…し、司令官が私に愛や恋を教えてくれっ!!…そうしたら、その…結婚……出来る………。」
今度は心なしでもなく真っ赤にした顔でВерныйが言う。その真面目で一生懸命な姿がたまらなく愛しく感じたALLENは、もう一度ぎゅっとВерныйを抱きしめた。
「し、司令官!?」
「ゆっくり分かればいいさ。ずっと待ってたんだ…。待つのには慣れてる。」
「司令官…。Спасибо…。」
Верныйはそう呟くとそっとALLENを抱きしめ返す。すっと力を入れれば離れてしまう、今までの二人の様なそのつながりは、いやしかし、強く抱きしめれば強く返す、確かな強い絆の様であった。
「司令官…。」
「…どうした?」
「あの…ね?」
Верныйは静かに呟く。
「その…今は指輪は受け取れない…。…でも、司令官はずっと私を待っていてくれた…。」
「うん…。」
「だ、だから…その…代わりと言うわけじゃないけど…私の………あげる」
「…え?」
小さく消えいる声だったので最後の方が良く聞こえなかった。
「だ、だから!私の……その……。………初めての……キス………。」
ますます顔を赤くして俯くВерный。その姿にALLENも顔を赤くしてしまう。
「………嫌、かな……」
消え入りそうな声で呟くВерный。さっきと立場がまるで逆だ。
「い、嫌なんかじゃないよ!嫌なわけないじゃないか!!」
Верныйの一言で否が応でも意識してしまったALLENはつい大きな声を上げてしまう。
「司令官…!?」
「あ、大きい声出してごめん…。…というか、プロポーズしてるのに断るわけないでしょ。」
「…そういうものなのか?」
「そういうものです!」
「そうなのか…。」
「そうです!」
「………」
「………」
しばらくの沈黙が続き、その空気に耐えられなくなったのか、どちらかともなく、
「…ぷっ。」
「…あははは。」
と笑い出した。その笑い声は鬱積したものではなく朗らかな、楽しいものだった。
「久しぶりだよ、こんなに笑ったのは。」
「僕もだよ。あー、楽しかった。」
「……司令官。」
「…うん。」
Верныйがそっと目を瞑りALLENに顔を向ける。長い睫毛は期待と少しの愁いを湛え、少し紅潮した顔はよりその透き通る白い肌を強調させている。
今のВерныйを見ればALLENでなくとも皆が口を揃えて綺麗だと言うだろう。
ALLENはそっとВерныйの肩に手を置きゆっくりと顔を近づける。 20cm、15cm、10cm、5cm………
…そして、二人の影が一つに重なった。
そっと触れるだけの軽いものではあったが、そこには確かに二人の絆があった。
運命とは奇しきもの。だが、廻り廻りて繋がるは必然。これから先、どんな不幸に見舞わられても乗り越えられると信じれる。Верныйはそう感じた。
彼女の時間は動き出した。動かしたのは自分。その行為がどんな結末を生むのかは分からないが、どんな結末になろうとも、乗り越えられると信じられる。
ALLENはそう感じた。 二人が歩む道はけして平坦ではないが、二人ならきっと・・・。
「司令官…。…これからもよろしく。」
「こちらこそだ、響。」
「…うん!」
歩み始めた二人を月の光が静かに祝福していた。
「入れ。」
「…失礼する。」
夕方、西日が差しこむ執務室に一人の艦娘が訪れた。腰まで届く銀色の髪に吸い込まれるような蒼い瞳、透き通るほど綺麗な白い肌、スラリと背の高い彼女の名は...
「Верный(ヴェールヌイ)、本日、本時刻を以て着任する。」
「よく来たな...待っていたぞ。」
執務椅子に腰をかけた提督は静かにそう答えた。窓から射す西日のせいでВерныйからは提督の顔を窺い知ることは出来なかったが、言葉の端々から察するに、微笑んでいる。そう彼女は思った。
「ずっと待っていた…君が来るのを…ずっと…」
提督が静かに呟く。どこか寂寥を帯びたその声にВерныйは約束の時間に遅れてしまったのではないかと思った。もし、待たせてしまっていたのならそれは素直に詫びねばならない…。真面目な性格の彼女らしい考えだ。
「待たせてしまったみたいだな……すまなかった。」
「いや、遅れてなどいないよ…。そう、そうじゃないんだ...。」
謝罪するВерныйに提督はそう返す。遅れたわけではないのに、待たせた?一体…。彼女は提督の意図するところがよく分からずにいた。 そんな彼女に対して提督は続ける。
「私はあの日からずっと待ち続けていた…。この日を、この時を。君とまたこうして会えるこの瞬間を。…君にこの言葉を伝えるために…。」
「提督…あなたは…。」
提督が立ち上がり、帽子を脱いだ。西日の向こう、Верныйの瞳に映る彼の姿は…
「おかえり、響。」
「ALLEN…提督…!?」
響、かつてのВерныйの名。
第六駆逐隊に所属し各戦域で活躍するも、終戦後、敵国に賠償艦として譲渡された。
大戦の中で共に戦った第六駆逐隊の仲間を次々に喪った彼女にとって、敵国に渡る事は死にも勝る屈辱だった。しかし、自らが譲渡されることで愛する祖国を守れるのなら…。
ただ、その一念で彼女は敵国へ渡る事を決意した。
ALLENはその当時の響の上官であった。彼もまた響の譲渡を屈辱に感じ、彼女が渡って行くその姿をただ見つめることしかできない自分の無力さを恨んだ一人であった。
自分にもっと力があれば…彼女を守れるだけの力があれば…!!
ALLENはその想いを胸に、再び彼女が祖国に戻れるよう、軍を離れ、外交史となり折衝を行ってきた。長く地味で根気の必要なその努力の末、遂に響を祖国 の元へ返還することになる。彼女をずっと想い続け、けして短くない時を過ごした彼にとって、この瞬間はまさに待ち望んでいたものであったのだ。
一方、響は二度と踏む事は出来ないと思っていた祖国の地に降り立つことに戸惑いを感じていた。彼女にとって、護るべき存在はもう無く、迎い入れてくれる存在はいないのだから…。そう、なぜなら自分はすでに敵国の艦娘なのだから…。
しかし、提督は言った。Верныйではなく、響と。
かつての自分を知る存在はもういないと思っていた彼女にとって、その一言は衝撃だった。けしてかけられる事はないと思っていた一言。もう二度と会う事はないだろうと思っていた、彼の一言…。その時、ふと自分の視界が歪んでいる事にВерныйは気付いた。
それが自分の涙によるものだと分かった時、彼女は初めて自分が泣いている事に気付いた。第六駆逐隊の最後の仲間、電を喪ったときに涙は全て枯れ果てた…。そう思っていたのに…。
「響が譲渡されてから、いつかこうしてまた会える日が来る事を信じてずっと待っていた。」
ALLENもまた静かに泣きながら、そう呟いた。
「司令官…」
その時、Верныйは西日射す彼の周りで自分に笑顔を向けてくれる第六駆逐隊のみんなの姿を見た。幼い姿の彼女たちは、口を揃えて言った。
「響、おかえり。」と…。
「みんな…どうして……うわああああああああ!!」
在りし日の日常を、出撃を終え、母港に帰ると真っ先に迎えてくれた彼女たちのおかえりの声を思い出したВерныйは泣き崩れた。
その涙は、蘇る温かな思い出の風景はもう二度と戻らないと悲嘆する涙か、再びここで在りし日の思い出と向かいあえた喜びの涙か。
ただただ泣きじゃくるВерныйをそっと抱きしめ、ALLENは言う。
「もう君を一人にはしない...。もう君に孤独を味あわせない…。もう君は一人じゃないんだ…。これからは、二人で歩もう。」
「司令官っ!!司令官っっ!!!」
しがみついて泣く彼女を、ALLENはぎゅっと抱きしめた。
抱きしめたその背中は、成長した今でも変わらず小さく、弱く、それでいて温かな響そのものだった。
どれくらいの時間が経っただろう、差し込む西日はとうに消え、空にはきれいな月が浮かんでいた、そんな頃。Верныйは静かに泣きやんだ。
「もう、大丈夫か?」
「うん…すまなかった…。」
子供のように泣きじゃくったのが恥ずかしかったのだろうか、Верныйは伏し目がちにそう答える。心なしか、月に照らされる顔が赤いような気がする。
「よかった。」
「その…спасибо(スパシーバ)。」
「うん…。」
「響...、君に渡したいものがある。」
真剣な顔をしてALLENが言う。
「渡したいもの…?」
腑に落ちない様子のВерныйの前で、ALLENはポケットからあるものを取り出した。
「それは…」
「さっきも言っただろう?これからは二人で歩もうと…。響、僕と結婚してくれないか?」
指輪が月の光に照らされてキラリと光った。
「司令官……えっと…」
言い淀むВерныйに不安な表情を見せるALLEN。
「もしかして…嫌、だったか?」
「い、いや!そうじゃないんだ!!…その…。…愛とか恋ってよく分からないんだ…。」
愁いを帯びた顔でВерныйは答える。
「大戦中も、賠償艦で向こうに渡った後も、出撃と訓練ばかりで、他の事に気を割くなんて出来なかった…。だから…」
「…そうか。」
今のこの子に言うべき事ではなかったとALLENは一人後悔しながら指輪を仕舞った。
「…変なこと言ってすまなかったな。さっきのは忘れてく…」
「ま、待って!!…待ってくれ…」
「響…?」 大きな声を上げたВерныйに驚いたALLENは二の句を継げなかった。
「た、確かに私は愛や、恋を知らない…。…でも、さっき司令官に結婚しようと言われた時すごく嬉しかったんだ。でも…、愛や恋がなんなのか分からないまま結婚するのはなんていうか…司令官に失礼な気がする…。…だ、だからっ!……だから……。」
「だから?」
「えっと…その…し、司令官が私に愛や恋を教えてくれっ!!…そうしたら、その…結婚……出来る………。」
今度は心なしでもなく真っ赤にした顔でВерныйが言う。その真面目で一生懸命な姿がたまらなく愛しく感じたALLENは、もう一度ぎゅっとВерныйを抱きしめた。
「し、司令官!?」
「ゆっくり分かればいいさ。ずっと待ってたんだ…。待つのには慣れてる。」
「司令官…。Спасибо…。」
Верныйはそう呟くとそっとALLENを抱きしめ返す。すっと力を入れれば離れてしまう、今までの二人の様なそのつながりは、いやしかし、強く抱きしめれば強く返す、確かな強い絆の様であった。
「司令官…。」
「…どうした?」
「あの…ね?」
Верныйは静かに呟く。
「その…今は指輪は受け取れない…。…でも、司令官はずっと私を待っていてくれた…。」
「うん…。」
「だ、だから…その…代わりと言うわけじゃないけど…私の………あげる」
「…え?」
小さく消えいる声だったので最後の方が良く聞こえなかった。
「だ、だから!私の……その……。………初めての……キス………。」
ますます顔を赤くして俯くВерный。その姿にALLENも顔を赤くしてしまう。
「………嫌、かな……」
消え入りそうな声で呟くВерный。さっきと立場がまるで逆だ。
「い、嫌なんかじゃないよ!嫌なわけないじゃないか!!」
Верныйの一言で否が応でも意識してしまったALLENはつい大きな声を上げてしまう。
「司令官…!?」
「あ、大きい声出してごめん…。…というか、プロポーズしてるのに断るわけないでしょ。」
「…そういうものなのか?」
「そういうものです!」
「そうなのか…。」
「そうです!」
「………」
「………」
しばらくの沈黙が続き、その空気に耐えられなくなったのか、どちらかともなく、
「…ぷっ。」
「…あははは。」
と笑い出した。その笑い声は鬱積したものではなく朗らかな、楽しいものだった。
「久しぶりだよ、こんなに笑ったのは。」
「僕もだよ。あー、楽しかった。」
「……司令官。」
「…うん。」
Верныйがそっと目を瞑りALLENに顔を向ける。長い睫毛は期待と少しの愁いを湛え、少し紅潮した顔はよりその透き通る白い肌を強調させている。
今のВерныйを見ればALLENでなくとも皆が口を揃えて綺麗だと言うだろう。
ALLENはそっとВерныйの肩に手を置きゆっくりと顔を近づける。 20cm、15cm、10cm、5cm………
…そして、二人の影が一つに重なった。
そっと触れるだけの軽いものではあったが、そこには確かに二人の絆があった。
運命とは奇しきもの。だが、廻り廻りて繋がるは必然。これから先、どんな不幸に見舞わられても乗り越えられると信じれる。Верныйはそう感じた。
彼女の時間は動き出した。動かしたのは自分。その行為がどんな結末を生むのかは分からないが、どんな結末になろうとも、乗り越えられると信じられる。
ALLENはそう感じた。 二人が歩む道はけして平坦ではないが、二人ならきっと・・・。
「司令官…。…これからもよろしく。」
「こちらこそだ、響。」
「…うん!」
歩み始めた二人を月の光が静かに祝福していた。