昨日も書きましたが自宅練習するには保護者の方のサポートが必要なケースがほとんどです。
そのため、自宅練習をしているメンバーの保護者の方から、
「自宅練習に付き合っているうちに私もそろばんが弾けるようになりました。」
という話を伺うことも珍しくありません。
さらに、そのような方の多くは次のようなことも言われます。
「そろばんではいい勝負ができるけれど、暗算は全然かなわない。」
そして、その結論として言われることは、「子供は凄い。暗算は子供でないと無理。」です。
う~~~ん。。。
この手の話をされた時、「そうですね。」と軽く流してしまえばいいのかもしれません。
ですが、私はついつい言ってしまうのです。
「いえ、違います!」と(^^;
そろばんを弾く際に必要となる力は大きく2つあります。
「弾き方を判断する力」と「実際に弾く力」です。
過去記事:「指で覚える」フェーズで必要となる力
前者は頭の中の話(以下、判断)で、後者は動作を伴う運動(以下、動作)です。
動作にはそろばんを弾くだけでなく、数字を書くことやご破算すること、次の問題に移ることなども含まれてきます。
一見そろばんを弾く力が同じくらいであっても、判断が速いタイプもいれば、動作が速いタイプもいます。
当然ですが、判断が速いほど暗算が上達しやすくなります。
過去記事:「暗算で行う」フェーズで必要な力
特に初中級までは、どちらかが極端に速い(というよりどちらかが極端に遅い)タイプが存在します。
そして、そこには年齢による傾向というものが確かに存在します。
以下の図は初中級レベルのメンバーが問題を解く際に、判断と動作にどのくらいの時間を使っているかのイメージ図です。
同じくらいのスピードで問題を解いていても、運動能力で劣る幼児や低学年の場合、判断に要している時間は大人や高学年と比べずっと少ないのです。
つまり、同じ初中級レベルであれば、子供(低学年)の方が判断スピードが速く、暗算が上達しやすい傾向があるということです。
「ほら、やっぱり暗算は子供が得意なんじゃないか」と言われそうですが、違います!
なぜなら、この差が生まれる最も大きな要因は年齢ではないからです。
この差が生まれる最も大きな要因は、「どれだけそろばんを弾き込んだか?」
つまり、練習量の差によるものです。
はっきり言って初中級までは理解力、運動能力に優れる大人(高学年)の方が圧倒的に少ない練習量で上達します。
逆に理解力、運動能力に劣る子供(幼児・低学年)は、そのレベルに到達するまでにたくさんの練習を必要とするのです。
そのため、一見同じレベルに見えても、そこまでに積み重ねた練習量の差として判断スピードの差が生まれ、ひいては暗算力の差が生まれてくるのです。
では、大人(高学年)が判断スピードをあげ、暗算を上達しやすくなるにはどうすればいいのか?
簡単です。
子供(低学年)と同じように何度も何度もそろばんを弾くことです。
初中級までは判断が遅いタイプ、動作が遅いタイプと両極端なタイプが存在しますが、上級者になるとそれがありません。
なぜなら、どちらも速くなければ上級者にはなれないからです。
だから、上級者を目指すのです。
大人(高学年)になると暗算が習得しづらいと言われるのは能力の問題ではありません。
反復練習(努力)が足りないからなのです。
過去記事:「指で覚える」フェーズで陥りやすい罠
「子供だから暗算ができる」、そして「あの子は特別だから暗算ができる」と言うのは、
そのメンバーが積み上げてきた努力の否定に私には聞こえてしまいます。
※もちろん、発言者にそんな意図はなく、純粋に「すごいな」という感心から出ている言葉だと理解していますが。
ですので、それについては軽く流したくはありません。
「そろばん式暗算は年齢を問わず、努力をすれば多くの人が手にすることができる技能です!」
と声を大にして改めて言っておきたいと思います♪