時ならぬ暑さー暖かさ、ではなくーに少し戸惑うが、気温より何より晴天が嬉しい。

 

先日、昨年も書いた場所に櫻を観に遠出した。片道130km。

仕事をしていたころと同じだけれど、こんなとき平日に動くことができるのが利点。

秋の台風一過の朝のように

前日までの風雨が春の霞をふきとばした抜けるような青空。

いつものように櫻を見たときに引く千家元麿の詩を。

 

『桜』 千家元麿

 

桜の並木の上の空

冷たいくらゐ落ち着いた高貴な空

花はその下に簇り咲いてほんのり空気を染めてゐる

 

昨年は曇天だったから嬉しいなぁ。

この観櫻は、いうなれば儀式。なればあとは当地の櫻を観に歩く

 

さきいずるさくらさくらとさきつらなり 荻原井泉水

 

床に本の山が並んでいるため組立式のブックシェルフを3本購入。

全集の端本や床に並んでいた本の山を収納できてだいぶすっきりした。

これまで賃貸や社宅に住んでいたから、いや、状況は今も同じなのだが

家具類を増やしたくなかったので、買い控えていたのだがまあよいか。

 

物に対する執着はさほどない、というより持たないように努力してきた。

その努力はいつか平素のものとなり意識せずとも自然になった。

仕事を辞め当地に移動する際に、食器棚や本棚を含めて相当数を処分した。

それは何より、物に沁みついた過去(時間?)を捨ててしまいたかったからだ。

そして、生活に慣れるにつれ必要なものを少しずつ、本当に少しずつ増やしている。

そんな感じの自分の中の駆け引きを少し楽しんでいる。

 

ヴァージニア・ウルフ『燈台へ』(新潮文庫)読了。『波』(角川文庫)を読み始める。