正しい選択をしたはずなのに
胸の奥だけが
静かに置いていかれた夜がある。
誰かを責めたかったわけじゃない。
誰かに困ってほしかったわけでもない。
ただ
その場で出来ることを選んだだけだった。
それなのにあとから
自分だけが少し浮いているような、
ひとりだけ温度が違うような感覚が残った。
私は
大げさにしたかったわけじゃない。
ちゃんと考えて、
ちゃんと迷って、
ちゃんと引き受けただけだった。
でも気づくと
「気にしすぎる人」
「真面目すぎる人」
そんな言葉が
自分の周りにそっと置かれている気がした。
正しさの横で
私は少しだけひとりだった。
その夜、
理由のはっきりしない疲れだけが残って
うまく眠れなかった。
間違えたわけじゃない。
でも
安心もなかった。
あのとき欲しかったのは
正解じゃなくて、
「ここにいていい」という感覚だった気がする。
私は
過剰だったんじゃなくて。
弱かったわけでもなくて。
ただ
ひとりで引き受けてしまっただけだった。
そして今も
ときどき同じ夜に戻ることがある。
何かを選んだあと、
誰にも責められていないのに
少しだけ胸が冷える夜。
そんな夜に
この文章が、どこかで誰かの隣に置かれたらいい。
それだけで、
あの夜は
少しだけ呼吸できる気がしている。
