日本の看護学生さんに関わっておられる方のブログ記事で、現場と実習指導のギャップみたいなのを感じました。

 

 

内容は、看護学生が立案した看護計画を「忙しいから」という理由で担当看護師が断ったというもの。学生さんを指導する立場からすると、必要なケアを一緒にしてもらえない、看護師の都合で断られるという憤りを感じられたようです。

 

 

忙しいという理由で片付けてしまった担当看護師さんは、学生の学びを助けていないという面ではあまり望ましい対応ではなかったと思いますが、現場で働く身としてはもう一歩踏み込んだ解釈をしてもらえると助かるなと思います。

 

 

そう思った理由の一つが、この計画内容が担当看護師が病棟を離れないとできないケアだったからです。

 

 

病棟を離れるっていうのは、複数の患者を受け持つ看護師にとってものすごく大きなことです。自分がどこかに行くことで、残りの受け持ち患者を危険にさらす可能性がある。例え、他の看護師に目を配ってもらうことができたとしても、他の看護師も自分の受け持ちがあって、その間フロアにいるすべての患者のケアが手薄になる。病棟にもよりますが、急変や転倒、他のケアや薬の準備を急いでしないといけなくなることでのインシデントリスクも増えます。

 

 

もう一つ掘り下げて欲しい視点は、看護の継続性や一貫性が保てるかということです。

 

 

実習には学校から指導者が付き添うこともあって、指導者さんがいれば実行できたのにという記載もありましたが、それでは意味がないかなと思います。学生さんや指導者さんがいないと実践できないケアなら、継続は難しく最終的な看護目標の達成につながるのか疑問です。学生さんの実習の終了の方が、患者さんの退院より早いかもしれません。学生さんがインフルエンザに罹って1週間来れないかもしれない。

 

 

私も学生時代そうでしたが、学生さんは目の前の患者さんの情報を必死で集めて状況を分析して、自分にできることを探そうとしてしまう。自分と患者さんのための計画を考えてしまうんですよね。看護計画は患者さん個別のものだけど、看護師個別のものであってはならないんです。看護は24時間365日交代制なので、チームが実践可能な計画じゃないと継続できず、看護目標を達成することは難しいと思います。

 

 

私が担当なら、「誰が勤務でもこの計画を実践できそう?」って学生さんに聞いてしまうかも(怖い?)。

 

 

リハが入っていると書いてあったので、そのリハビリの一環に計画を組み込めないのか。家族に働きかけはできないのか、他に活用できるどんな資源があるのかを考えて、看護師が忙しい日でも誰が担当でもそのケアが提供される環境を作れる計画を考えるかな。

 

 

学生さんの思考がそう傾いてしまうことは、日本の実習方法だと仕方ないことなので、担当看護師や指導者のフォローが必要な部分だとは思います。「忙しい」じゃ、学生さんは学べません。

 

 

担当看護師さんは、現場ならではのそういった視点を学生に伝えて欲しいし、実習指導者さんは看護師が「できない」といったことの意味を考える手助けをしてもらえると、もっと学びが深くなるのかなと思います。

 

 

後は、いかに他の人の手足を使えるか。看護職って何でもかんでも自分達でやってしまいがちで、なんならやらないといけないという呪縛にかかっている人も多い。これは働きだしてからも一緒で、他の職種や家族にやってもらった方が効率もよかったっていうことが多々あります。

 

 

ただでさえ仕事量が多いので、「それって本当に看護師がやるのが一番いいの?」「他にできる人は?」っていう思考は意外と大事。まぁ、それが学校で評価される看護計画かどうかは分かりませんが。

 

 

現場からは以上です指差し