オイルの役割

○潤滑 エンジン内部で回転や往復運動を繰り返す各金属パーツ同士の摩擦抵抗を減らし、滑らかに作動
     させる。
○冷却 エンジン各部を循環しながら、高温になったパーツの熱を奪い、冷やす。
○密封 ピストンリングとシリンダーのわずかな隙間にあって、混合気や燃焼ガスが漏れ出さないようにする。
○防錆 エンジン内部の各パーツ表面に付着し、空気と直接触れないようにすることで錆を防止する。
○洗浄 金属パーツの回転や往復運動によって生じた金属粉や、燃焼時に発生したカーボンなどを取り込
     み、オイルフィルターに運び込む。

オイルの種類

○鉱物油   原油を精製して作られるベースオイルに添加剤を加えて作られる最も基本的なエンジンオ
        イルの種類。原油の産地、種類、精製方法、添加剤を工夫することによって様々なエンジ
        ンの種類、用途に合わせて自由に高性能なオイルを作ることができる。
○半合成油  鉱物系ベースオイルと化学的に合成されたベースオイルをブレンドし、添加剤を加えて作
        られるオイル。一般的な鉱物油に比較して基本性能が高いベースオイルをブレンドしてい
        るので、少ない添加物で高性能が得られる。
○化学合成油 化学合成によって人為的に作られたベースオイルに添加剤を加えて作られるオイルで、分            子構造を変えることで狙い通りの性能をオイルに与えることができる。製造コストは高くなるが
        極限の性能を追求しやすいオイル。
○植物油   油膜形成力が最も優れているが、酸化が早いため公道用市販車には向かない。現在ではレ
        ース専用。

オイルの規格

○API規格(米国石油協会)
    米国石油協会が4サイクルエンジン用のオイルに対して性能分類を定めた品質規格。
    「SF」「SG」「SH」という表示で、Sと組み合わされるアルファベットがZに近くなるほど品質が
    高く、現在はSLが最高級グレード。ただし、API規格は二輪車の特性については考慮されていな
    い四輪車専用規格。
○JASO規格(日本自動車技術会)
    1988年に、日本で始めて二輪車用エンジンオイルの品質について定められた規格。二輪車用
    オイルに求められる試験の結果に基づき、生産者が品質を保証するもので、オイルの特性により
    「MA」「MB」の2つのグレードに分類される。いずれも二輪車用4サイクルエンジンに適合する
    もので、どちらが上のグレードといったものではない。
    「MA」:「高温高せん断性」に優れた特性を持つ。一般的なオートバイ用オイル。
    「MB」:「低摩擦性」に優れた特性を持つ。エンジンの構造・材質が特殊なオートバイ用オイル。
        

オイルの粘度

○SAE粘度分類(米国自動車技術者協会)
    オイルの粘りを表す基準として、SAEによる粘度分類が世界的に普及している。
    例 : SAE 15W - 40
         ①   ②     ③
     ① SAE規格による表示であることを表す。
     ② 「W」はWinter(冬)の頭文字で、マイナス17.8度を想定。その低温化で”15”の粘土を
       持つことを表す。(この数字が低いほどオイルは柔らかい”ウィンターグレード”と呼ば
       れる)
     ③ 高温下(98.9度)や高速・高負荷時では”40”の粘度を持つことを表す。(この数字が高
       いほど粘度は高い”サマーグレード”と呼ばれる)
    「15W-40」は、低温時から高温時まで使用可能温度の範囲が広く、オールシーズン使用できるタ
    イプで”マルチグレードオイル”と呼ばれている。
    これとは別に、粘度が一定で使用可能温度の範囲が狭い”シングルグレードオイル”もある。こ
    れは、季節(気温)による使い分けが必要な場合もでてくる。(表記例:SAE40,SAE50)
    ツーリングや通勤・通学等、一般的な使用下ではマルチグレードオイルで十分である。