―――――入ってきたのは、昨日不良たちをボコボコにした女の子だった。

 俺は叫ぼうとするのをこらえ、茫然とした。

「えと、白河綾愛(しらかわあやめ)です。よ、よろしくお願いします。」

白河の自己紹介も終わり、うちの担任、通称堕ちた楽園(メシア)が彼女に席に着くよう、うながす。

 途中、俺のすぐ隣を通って行ったのだが、彼女は見向きもしなかった。無視しているのではなく、本当にあったことがないですよ的な表情だった。・・・・・どうなってんだ?俺は首をかしげる。とにかくHRが終わったら話を聞きに行くか。

                                *

 HRも終わり、授業が始まる少し前に俺は白河に話しかけた。

「なあ、君昨日公園の近くにいなかったか?」

「私ですか?私は昨日公園にはいってませんよ」

「そうか」

おかしいなあ。たしかにこの子だと思ったんだけどなあ。そんなことを考えていたら突然白河に話しかけられた。

「えっと滝谷くん?ですよね。滝谷くん放課後ちょっといいですか」

「ん?別にいいけど」

「なら、放課後公園に来てください」

「オッケー」

これはもしかして告白か!?ついに来たか俺の時代!!さすが幸運の週だけのことはある。そんなことを考えていたら授業が始まった。口元がにやけそうになるのを必死にこらえ、心の中で叫ぶ。

 よっしゃぁあああああああああああああああああ!!!

 しかし、なぜだか少し嫌な予感がした。

 俺はこのときの嫌な予感が当たるとは思ってもいなかった。

               続く!!・・・・・といいなあ

「なによ、あんたら」

 目の前の女の子が不良たちを睨みつける。

「ガキに用はねぇ。それとも俺たちといいことでもして遊ぶか?」

 不良たちがぎゃははと下卑た笑いをあげる。

 そのとき俺は、どうやったらうまく逃げだせるか考えていた。

 そのとき―――――


 いきなり女の子が不良たちに襲いかかった。まず、一番近かった奴を殴り、次にその隣の奴を殴る。す、すげぇ、もうこれ喧嘩じゃなくて一方的な虐待だ。そう思わせるほどすごかった。5分後には十数人の不良たちが転がっていた。

「あたしをガキ扱いするから悪いのよ」

・・・・・え、えーとそれだけの理由でこいつらをぶちのめしたと。ひ、ひでぇ。

 ぼー、と呆けていると女の子はもうどこかへ行っていた。それにしてもなんであの子はうちの制服を着てんだ?あんな子いたっけ?と、考えつつ家に帰ったのであった。


                         *


                      ~次の日~


 今日は目がすっきりと覚めた。そりゃそうだ、今週は幸運の週なんだから。軽快に歩いていると、さっそく道端に500円を見つけた。ラッキー、ついてるついてる。

 学校に着くといつもと変わらないクラスメートの姿がいた。そのうちの一人、親友の島原翔(しまばらしょう)が話しかけてきた。

「おい、ツキ。きいたか?今日転校生が来るんだってよ」

「それホントか?なんで今頃くるんだ?普通は夏休み明けるだろ。まだ6月だぜ」

「さあな。とにかくるらしい」

 ちなみにツキとは俺のあだ名だ。滝谷月夜(たきだにつきや)の月から取っている。あ、翔の外見は一言で言うとイケメンだ。かなりかっこいい。でも、うるさいのであまりモテていない。黙っていたらぜったいモテるのにな。

 その後も俺は翔とだべっていたら、すぐにHRがはじまった。

「おはようございます。さて、今日は転校生がきます。どうぞ」

と、うちの担任内田俊幸(うちだとしゆき)通称焼け野原が挨拶をし、転校生を入ってくるように促す。自然とみんなの視線が入口にあつまる。

 入ってきたのは――――――

      続く・・・・・・・・かもしれない

「ハァ、ハァ、やっとまいたか」

 俺は激しく呼吸をしながらつぶやき、地面にぺたん、と座りこむ。ついてねぇ、まったくついてねぇ。でもそれも今日で終わる。今日の残りを逃げ切ったら俺の勝ちだ。

 と、のんびりと座りこんでいると、

「いたぞ!あそこだ!逃がすな!」

不良たちに見つかった。

 くそ、と俺はぼやき慌てて逃げる。今のところは逃げ切れているが、何しろ相手は集団だ。一度追い付かれたら、逃げられないに決まってる。ハァ、まったく何で俺は、こんな面倒な体質に生まれちまったもんかね。一週間毎に不幸になったり、幸運になったりする体質なんてもんに、さ。

 曲がり角が見えてきたので、俺は勢い良く曲がる。そしたら――――――


――――――女の子とぶつかり、押し倒してしまっていた。


 ・・・・・え、何これ?どこのギャルゲー?まさかこんな日が来るとは。今週は不幸じゃなかったのか?ハッ、まさかついに俺の子の面倒な体質が治った?と、思ったのもつかの間、次の瞬間俺は――――――


――――――おもいっきり女の子に蹴とばされた。・・・・結構痛い。


 やっぱり体質は治っていなかった。つーかどこにあんな力が?と、思いしげしげと女の子を見てみる。女の子の容姿は、小顔で、ポニーテールで、150センチぐらいの小さな女の子だった。その女の子はウチの高校の制服を着ていた。こんな子いたっけ?と考えていると、

「何じろじろ見てんのよ、この変態!!」

 はじめて会った女の子に、初めて罵倒されました。

「俺は変態じゃない!!」

「いきなり押し倒す人のどこが変態じゃないのよ!」

「うっ・・・・・、確かにそうだけどさ・・・・・」

「でしょう。じゃあさっさと謝ってよ。」

「すいませんでした」

「いいわ。次こんなことしたら警察に連れて行くからね」

「もうやらないって」

と、俺たちがのんきに話していると、不良さん方に追いつかれてしまいました。

 やべっ、追いつかれちゃった・・・・

    続く・・・・かも?