sorariri89のブログ

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「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」の
ヤフー「みんなの感想」から広がったブログです。書くことが好きで、日々の出来事から感じたことや自分のこと、ドラマのことやエッセイ、詩、時には小説、など綴っていきますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

時代劇は子どもの頃からよくみてました。

江戸の人情ものが好きで、昔々は近衛十四郎の月影兵庫とか花山大吉が好きでした。ご存知の方いらっしゃいますか???


この前の日曜日、テレビで「ワイドなショー」見ていたら、これが紹介されたんです。


「侍タイムスリッパー」




なんでも自主映画の一館上映から始まったのが、その面白さが口コミで広まり、どんどん上映館が広がっていったそうです。私が知ったときは100舘超えてました。


オマケに一般公開前にカナダで開催された"ファンタジア国際映画祭"で賞まで取ったというのです。


「観客賞金賞」というもので、名前からすると審査員から選ばれたのではなく、観客から選ばれた賞なんでしょう。この映画の面白さに折り紙がついたともいえますよね。


ちょっと前に「SHOGUN 将軍」がエミー賞ドラマ部門を総ナメにしたばかりなのに引き続きのこの快挙。(順番でいったら逆ですが)


京都太秦の職人さんたちが脚本の面白さに太鼓判押してくれて、これなら自主映画でも、と後ろ盾までを得て日の目を見たというのだから、めちゃ興味沸きました。


時代の波は今時代劇ということなのでしょうか…


私が見ようとすると近場では西宮か大阪。

8月末の公開だったから、ロングランとはいえ流石に終わりが近いかもと3日後1時間電車に揺られて西宮のトーホーシネマズで見てきました。休みで良かった。それにしてもネットでもキャッチできてなくて、情報溢れているのに偏っているんだなと改めて思います。テレビ見てなかったら知り得たのかなぁと…


14:50からだったのですが、けっこう席は埋まってました。ワイドなショー効果なんでしょうか。

やはり大人、年配の方々が多かったです。


予告で2、3本まげものが流れたあとだったから余計にオープニングから低予算のB級感は否めません。

でも金をかけりゃいいってもんじゃないし…


主演の山口馬木也は、藤田まことの「剣客商売」で初めて見たような気がします。藤田まこと演じる秋山小兵衛の息子大治郎役でした。


初代の渡部篤郎がしっくり来ていたので、二代目は目元が鋭すぎる濃口醤油顔で、芝居も硬さがあってちょっと馴染めませんでした。


その後もあちこちで目にはしていたと思うのですが、テレビから離れていた時期もあったので、ほぼこれといった印象なしというのが正直なところ。

でもこの映画では歳月を経て(現在51歳)、無骨な会津藩士、高坂新左衛門がこの上なくピッタリ、ハマってると思いました。


所作も綺麗だったし、特に背中からは使命を果たしそびれた武士の悲哀みたいなものが滲み出ていました。作り込んだというより、ご本人の人柄が伺えるような自然な表情や台詞回しに好感持てました。


幕末の侍が現代の時代劇撮影所にタイムスリップするという設定で、タイムリープものはそれだけでドラマ性増しますが、ツッコミどころ目立つのも事実です。


変に辻褄合わせをしようとすると鼻白らむ恐れもありますが、この映画はそう言ったものを一切捨てていて、観客にそれより大事なものへ素直な目を持たせたようにも思います。


新左衛門が140年という時間ギャップにもっとあたふたしても良さそうなのに、それで笑いに落とすとかも控え目で、ケーキを食べるシーンの描き方になんともいえぬ優しさが画面全体から滲み出て、意地の悪い見方はできなくなりました。


でももちろん笑いは随所にあって、ホンモノの侍が切られ役として生きていく決意を固めて、ホンモノ故に重宝がられていく前半は客席のあちこちから笑い声も漏れていました。


そして後半、予想しなかったサプライズとともに緊張感も高まって行くのです。緩急の手綱捌きが見事だと思いました。オチも思わずにっこりとなるし


相手役の冨家ノリマサが山口馬木也とは好対照にこれまた侍の良い味出してて


終盤に用意されているクライマックスも見応えたっぷりでした。


チャンチャンバラバラとなる前の息を飲むような静寂のシーン。

放送事故かと思えるほどでしたが、ある意味リアルで、その後のチャンバラシーンの大いなるデフォルメぶり。時代劇愛の結晶を見る思いでした。


笑いあり涙ありの、侍を通して描かれた胸に沁みる人間劇。あったかい涙目になった人も多いのではないでしょうか。


リピーターが多いのは、単純に面白いからというだけではなく、自分の親や祖父母を連れて行きたいとか、とにかく応援したいとかという気持ちからというのもあって、ほっこり。日本人に時代劇は本来親和性の高いものですし、銀幕であんな立ち回り見られるならってなりもします。


これは絶対観ている私たちへの励ましでもあると思えるセリフも挿入されていて、微笑みながらジンの来るのは誰に喋らすかという人選を間違ってないから…


今日調べてみたら10月8日付けで上映館は250以上に拡大していて、さらに18日からは私の居住地に近いイオンシネマでもやるということで、これはも一回行くことになりそうです。パンフなかったけど、11日から販売されるようだし…


メガホンを取った安田淳一監督は映画を通して自己表現しようとかというタイプではなく、ほんとに映画が好きで、その好きな気持ちを観客と分かち合いたくて、そんな映画を作る、いわば映画少年がそのまま大人になった感じがします。


作品中に他作品へのオマージュを感じさせるシーンもあったりして…

わかりやすいところで「カメラを止めるな!」を絶対意識してるやろうなと、私が感じたところもありました。このヒットの仕方もカメ止めを彷彿とさせますし、後で見た動画で監督自らも意識したこと言ってました。


日本一の切られ役福本清三さんに殺陣師として出演してもらおうと考えていたのに亡くなられて途方に暮れたとかという裏話も、エンドロールでその福本さんへの献辞が流れたところも愛を感じます。


その風貌や声、喋り方、京都で米農家を継ぎながら、映画も作ってるというプロフィールも見逃せないです。これからも沢山楽しめる映画を使ってほしいですね。前作の「ごはん」見たくなりました。


まずはまだご覧になっていない方は、お近くの劇場まで脚を運ばれてはいかがでしょう。


低予算ながら、本物の職人たちが本気で作った侍魂が楽しめると思います。


真田広之さんに伝えたいですね、日本でも頑張ってる人たちがいますよ、と。


もう耳に入ってたりして…笑




ありがとうございました😊