真魚と嵐は目的の場所に向かっていた。
しかし、嵐はその場所を知らない。
「なぁ、真魚よ…」
嵐の声に元気がない。
「腹が減ったのか…」
真魚は既に気付いていた。
「気付いておったならどうにかしろ!」
嵐は最後の抵抗を見せた。
「ほう…」
真魚がそう言って急に立ち止まった。
相変わらず森の中…
目の前は獣道である。
少し離れた場所に大きな岩が見える。
その岩の前…
そこに二人の人影が見える。
仲間ではない。
敵同士。
漂う空気がそう言っている。
「丁度良かったかも知れぬぞ…」
真魚がちらりと嵐を見た。
「おい、真魚!飯じゃ!」
嵐の言葉を無視して、真魚は歩き続けた。
そして…
二人の姿がはっきり見える…
その距離まで近づいた。
そこでようやく、真魚が足を止めた。
一人は大柄な男。
両手に鎌のようなものを持っている。
背を向けているので、顔は分からない。
もう一人は小さな男であった。
修験者のような格好をしている。
手に錫杖を持ち構えている。
「この辺りの者ではないな!」
大柄な男がそう言っている。
一人は山の民のよう…
もう一人は修験者…
その格好から見れば、二人には争う理由がない。
しかし…
起きないはずの争いが、始まろうとしている。
先に動いたのは山の民の男であった。
右手に手に持っていた鎌を投げた。
修験者が難なく避ける。
だが…
避けたはずの鎌が、今度は後ろから戻って来た。
鎌の柄の端に、紐のような物が付いている。
紐を手で引けば、戻ってくる仕組みだ。
その鎌の動きを知っていたのか…
修験者は既に横に跳んでいた。
かなり身軽である。
「ここで遭ったのを不運だと思え!」
今度は左手の鎌をその横に投げた。
「二度も通じると思うな!」
修験者の男がそう言った時である。
今度は鎌が弧を描くように動いた。
「おっと!」
かちぃぃん!
間一髪…
修験者の錫杖が、鎌をたたき落とす。
「やるな…」
修験者の男はそう言うと、手刀印を組んだ。
「えいっ!」
修験者の男は、その気合いと共に後ろに下がった。
「おい、真魚!」
嵐がその異変に気がついた。
拳ほどの黒い玉が、宙に浮かんでいた。
次回へ続く…
スピリチュアルな記事はこちらにも↓
『そらうみガイドブログ』はこちらから!
『そらうみガイド』お申し込みはこちらから!