「あれは海…」
「あれは…」
昴は、海の向こうに大地を見つけた。
「あっちの大地の方が大きい…」
大陸を見て驚く昴。
「何なの…この感覚…」
舞衣は、すでに違うものを感じ始めていた。
「呼ばれている…」
舞衣が言った。
「あっ…」
舞衣はその大地の形を見た。
「丸いの?」
「闇に浮いているの…」
その場で生きているのは、
嵐の霊力で守られているからだ。
「私…大地に呼ばれている…」
古の力が呼んでいる。
舞衣はそう感じた。
「えっ、大地に…」
舞衣の言葉で、昴が引き寄せられた。
「良く見ておけ…」
嵐が速度を上げた。
めまぐるしく動く大地。
「これが…全部…」
昴は、目を閉じることを忘れているようだ。
嵐はあっという間に、星を一回りした。
「なぜ、あそこだけ海が広いの…」
舞衣が胸を押さえている。
「遙か昔…」
「今より栄えた文明があったと言われている…」
「その文明は…」
「自らの力を押さえきれず、海に沈んだ…」
真魚はその事を知っていた。
「まさか…」
「古の力って…」
舞衣の鼓動が早い。
「倭はその文明の一部だと言われている…」
真魚が舞衣に言った。
「私達が守ろうとしているものって…」
舞衣がその事実に気付いた。
「恐らく、今の倭とは関係ない…」
「もっと古い何かだ…」
真魚は、舞衣の疑問に答えた。
「でも、帝が欲しがっているものって…」
我が身と引き替えるものを、昴が気にしている。
「お主らは勘違いをしている…」
「勘違い!?」
昴と舞衣が同時に驚いた。
「言い伝えは、言い伝えだ…」
「文字で書かれたものではない…」
「そうだ…私も、お福婆さんも文字なんて読めない…」
真魚の導きで、昴がそのことに気付いた。
「神のちの意味は、人の血であり、大地の地だ…」
真魚が、自らの考えを二人に言った。
「倭は…古の神の地…」
「神の地であり、古の大地の一部でもあるの…」
舞衣がそう考えた。
「すると、どうなるのよ…」
昴が難解な話についていけない。
舞衣のように思考するのは、苦手のようだ。
「帝が欲しがっているものは、王の証だ…」
「古の神の土地に、神の血を持った者達が現れた…」
「そう考える方が、可能性は広がる…」
真魚は、自らの考えを形にした。
「私の力は…太古の力…」
「神の地を守る力…」
舞衣が、胸を押さえ、目を閉じた。
込められた力と対話をしている。
「三種の神器の話を覚えているか…?」
「剣、鏡、そして勾玉のことを…」
真魚がそう言った。
「三種の…神器…勾玉…」
「まさか…」
昴が、自らの胸を押さえた。
そこには、お珠から貰ったお守りがあった。
「では…王の証って…」
昴は戸惑っている。
「それは、神の血統を示すものだ…」
「今、見ただろう…」
「この大地の王の証だ…」
真魚がそう言って笑っていた。
続く…
-この物語はフィクションであり、史実とは異なります。
実在の人物・団体とは一切関係ありません-