達人達という番組が、夜中に再放送されていた。
104歳の医師・日野原重明さんと、
103歳の美術家・篠田桃紅さんの対談であった。
この中で、篠田さんが面白い発言をした。
20代の若者のアンケートの中で、悩みに答えるという主旨だっと思う。
「やりたいことが、みつからない」
という若者の悩みに、篠田さんはこう言った。
「若者が未来に耀きを見られないのは、私達、年寄りのせいだ」
正確な文章は聞き逃したが、こういう意味であったと思う。
私はこの言葉に感服した。
すごいと感じた。
「今の世の中の問題の大半は、今の年寄りが生み出したものだ」
そう言っているようにも聞こえた。
大抵の大人は、そんなことは言わない。
「今の若者は…」
というのが大半である。
自らの責任を押しつけ、責任転嫁をしている。
年金問題にしても、考えられないような利率で計算されている。
預けたお金が、何倍にもなって帰って来る。
こんな、金融商品は存在しない。
今、お金が足らないのは、計算を間違えたからだ。
その責任者は追求されずに、無罪放免である。
絶対に必要な制度であるが、誰かが何かを間違えた。
国民が悪い訳ではない。
だが、そのしわ寄せは国民に向いている。
また、このようなことも言っていた。
「大人が楽しそうでないと、子供は未来を悲観する」
苦しそうに働いている両親。
それを見て、いつかは私もその苦しみの中へ…
そういうことであろう。
また、日野原さんは医師という立場から、こんな事も言っていた。
「心と体は切り離せない」
「心が病めば身体も病むし、病は心を病気にする…」
健康であるということは、心と体が健康であると言うこと…
さすがに100歳を超えると、身体は言う事を聞いてくれないだろう。
それだからこそ、見えてくるものがあるのかも知れない。
だが、死に対する恐怖は、二人には感じられなかった。
「100歳生きたら本望であろう…」
人はこういう。
だが、死の恐怖を克服するのに歳は関係ない。
死をどう捉えているかということだ。
お二人とも、生涯現役を貫いている。
人の生き方の、お手本。
まさに、人生の達人のようであった。
だが、それが出来るのも信念があるからだ。
自らの耀きを見せる。
その言葉に尽きると思う。
最後に、篠田さんの展覧会に日野原が来られた。
二人が抱き合って讃え合う。
私は「よかったね…」と感じた。
それは、二人が出会えたからだ。
魂の約束を果たした瞬間…
それを、見たようであった。