それからしばらく私も連絡せず、

彼からの連絡もなかった。

初めから医師との恋など実らないと

思っていたので、

そんなに傷つくこともなかった。

 

しばらくしてから、彼から電話があり、

お詫びとお別れの連絡だった。


後日、私が彼とのことを話してしまった

友人がおしゃべりで、本人にその件を

問いただしたから、それで慌てて終わりに

されたのかもしれない。

けれど、その当時、私は彼女が彼に

問い正したことを知らなかったから、

あの時のあの怖かった彼女に詰め寄られて、

今回の別れの電話になったのかと思っていた。

 

あの頃の私は、自分も彼女の行動が

怖かったから知らないふりをしたのだけれど、

それと同じくらい、他人の関係を壊すのも

怖かった。

彼女の挑発にものらなかったし、

私は彼との関係を認めたり、

主張したりしなかったから、

とりあえず彼は叱られずに済むかな。

大丈夫かな。

あの程度じゃ、

あなたを守れてはいないかなとは

思ったけれど…

これ以上はいいか。

そこまで頑張れないから…


お医者さんの彼女ではなく、

看護師さんの彼女がいるのであれば、

素直にその人と幸せになって欲しい。

私のせいで波風が立たないよう、

穏便に事が運ぶようにと身を引こうと思った。


まあ、一夫多妻の国でもない日本で、

ひとりの男性を何人もでシェアするのは

普通ではないし、誰も…いや、少なくとも

私には魅力的ではない。


代々医師の家系なんて、

私には縁がないから

これでよかったんだと

自分に言い聞かせた。

 

その話を会社で話していたら、

当時社内恋愛がうまくいかなかった相手が

これはかわいそうだと思ったのか、

再度アプローチをかけてきて、

私はあっさりその人のところに戻った。

それもあり、

私はその恋を引き摺ることはなかった。


私の若い頃の恋愛って軽いな。