体をよく触りましょう。のお話
ある日のこと。
「なんかちっちゃいデキモノが前足にあるので診てください」
どれどれ
みなさん、わかりますか
「ここです。ここ、ここ」
その大きさは1-2ミリ
対比に爪楊枝…
いやー、よく見つけましたスバラシイ
写真だと毛を分けてるので見えますが、
通常状態では全く見えません
こんな小さいの、良性でしょ?
大きくなったら病院に行けばいいでしょ?
形もキレイだし、本人も気にしてないよ
って思っちゃいます
針を刺して細胞を一滴とって検査をしました
(針吸引検査、細胞診と言います)
その結果、
肥満細胞腫
という皮膚のがんであることが判明しました
まあ、その可能性があるからこんなに小さくても検査したわけですが…
「えっ、ぼくがんなの!!???」
安心してください。
治りますよ
肥満細胞腫は内臓にできるタイプもあったり、
できる場所や数、大きさ、広がり具合など、
悪性度にかなりバリエーションがあります。
虫刺されみたいに見えたり、
大きくなったり、
小さくなったり、
痒がったり、
プニョプニョした脂肪の塊に見えたり、
とにかく見た目や症状では良性病変や炎症と間違えやすく
トリッキーなところが肥満細胞腫の特徴でもあります
何年も前からずっとあって、たまたま見つかるような
「それって本当にがんなの?」と言いたくなるような悪性度の低いものから、
あっという間に全身に広がってしまうような悪性度の高いものまで様々。
今回の場合は早期発見&臨床所見から、充分根治が狙えます安心してね
「早く見つけてくれたパパ、早く連れてきてくれたママ、ありがとにゃ」
四肢や頭にポチッとできていた時は、
それが小さいものであっても要注意です
小さいから、
気にしてないから、
検査しないで様子を見ましょう、
ということは避けましょう
(例外はもちろんあります)
知り合いの家のが肥満細胞腫だったけど、
「無治療で大丈夫だったからうちも」
という安易な判断もやめましょう
くり返しますが、
肥満細胞腫は
見た目のバリエーションも
予後のバリエーションも様々です。
一部の経験則に頼るのは危険です
適切な腫瘍の知識を持ったホームドクターの診察を
受けてくださいね
今回は、こんなに小さくて毛に埋もれているのをよく見つけたな〜、
愛だな〜と感動しました
みなさんも、体さわって見てくださいね
あ、でも、見つけたあとはいじっちゃダメですよ