私の主な活動場所は図書館になり、関わる人間が増えた。
私は、研究員とか、学者とか、そういう人間は大好きだ。
身分で判断する部分はやはりある。
それは確かにあるが、彼らの研究内容が最優先だからだ。
私は勉強が好きだった。
幼い頃、本を読む事は両親や周りから逃げる為だった。
妄想にも耽っていた。
だからか、新しい情報を手に入れるのも本を読むのも文字を書くのも全く苦じゃない。
知識を入れれば入れるたび、私の話を聞いてくれる人が増えた。
この頃、豪邸は賑やかで人の出入りも多く、雰囲気がとても明るかったのを覚えている。
事業は成功していたんだろう。
私の言っていた何かがヒントになったらしい。
私は噂話や本で得た事をそのまま話していただけだから、豪邸の主には元々きちんと才があったということだ。
その頃には豪邸の主人は、私の事は奴隷の身分でありながら自由にふるまうことを許していた。
私は彼の側近や管理人と話すばかりで彼と直接話す事も殆ど無くなった。
図書館の管理人や使用人に伝えておけば、特段許可なくどこへも行けた。
必要だといえば希望した金額も手にできた。
どのタイミングか忘れたが、一度私は生まれた村に戻った。
家に戻ると父はかなり前に首を吊って自殺していた。
その時の私には霊感など無い筈なのに、魂のかけらがバラバラになったまま暖炉にくべられていた。
当時分かった事じゃ無いかもしれない。
私を売った事を父は後悔していたらしい。
私の母は街で身体を売ってるなどの噂が立っていた。
私の姿を見て、村の人は母が正しいと思ったかも知れない。
私は運が良かっただけだ。
あの後何が起きたかなんて多分父しか想像付かないだろうと思う。
だが母の行動がなければ今の私もいなかった。
父の魂と手紙を抱きしめて街にもどった。
私は私の生活がある。