まさにこういうのを悪い夢というに違いない。
キャベツがブルドーザーだかトラクターだかで踏み潰される瞬間の映像が何度も何度もテレビにうつる。
キャベツ姫でもひそんでいそうな、みずみずしいキャベツである。でかい。お百姓さんでなくとも、それの外皮までもやわらかくあおあおしくうまそうなのは一目見ればわかる。そういう野菜をクズみたいにしてしまうこと。
もったいない、という言葉がマータイさんの口からのぼったその日から、我々21世紀日本人の心の中に「モッタイナイ呪縛」というのが出来た。そもそも、片腹痛い言葉だった。
日本が戦争に負けて、アメリカみたくしなくちゃこれからさき偉くなれない!お金持ちになれない!と、こぶしを握り締めたそのときから、「もったいない」はしみッたれた言葉に成り下がったのだから。
マスコミひとつとってもそう。キャベツ以外に、ピーマンもたまねぎも捨てられた。だけど映像はどこの局でもキャベツだけだった。キャベツのほうが画(え)にインパクトがあるから。潰されたときの音もよく聞こえるし。つい最近まで、野菜高騰!!レタス四百五十円!!キャベツ三百五十円!!のテロップが踊っていたこと、わたしたち消費者は忘れてない。つい最近まで、冷凍野菜のコーナーには、野菜高値時代の栄養補給!なんていう貼り紙があったもの。ああそれなのに。どうして?どうして?と、コメンテーターたちは無垢な人みたいに悲鳴を上げてたけれど、現代の消費社会がそういうしくみになってるってこといまさら気がついてるようじゃだめなんだって話で。もちろんそれは自分もふくめてなんだけど。
それにしても・・・
広島風お好み焼き屋に偶然来てたとかいう自民党の松浪議員さん。
カメラ向けられて、
「農家の皆さん、安くたっていいからどうか売ってくださいよ、捨てないで」
とか言ってたのが、ほんとむかついた。売ると損するからつぶしてんじゃん!!その矛盾と法やなにかを改正して戦うのがあんたたちの仕事でしょ!!お好み焼きなんか呑気に食ってないで、なんとかしたらどうなのさ!!
と、テレビに向かって怒鳴ったのは、わたしだけではあるめえよ。