オージオビタナリッシュクリームのCMで、韓国イケメン俳優チャン・ドンゴンが、画面に視線をすえたまま日本語で長々と台詞を言うシーンがあるのだが、あれがどうも、気になってしょうがない。


韓国語が母国語であるひとたちが喋る日本語には特徴があって、それは無論、母音の発音の違いゆえであるのだが、女性に関していえば、失礼な話だがそれがつたなく聞こえて可愛いとか、そういう発想はいかにも日本人的なのだが、まあ、要するに、そういう認識があったわけだ。ユンソナとか、BOAとか。


しかし、韓流ブームにのっとって、我々は、今までなぜか気がつかなかったのか、なんなのか、耳慣れていなかった韓国人男性の日本語を聞く、という機会に頻繁に出くわすようになった。


携帯の宣伝で、日本人女性の妄想?として出てくるペ・ヨンジュンは、チョコレートの宣伝でも、車の宣伝でも、やたらと日本語を披露してくれているし、イ・ビョンホンも、パク・ヨンハも、歌手のKも、ピも、あと誰だか忘れたけど、いろんな韓流スターたちが、日本に来日するさいかならず挨拶やその他で日本語を使ってくれる。そういうスターを売り込んでいる日本のエージェントいわく、

日本に来たら日本語で挨拶をし、礼儀ただしくふるまうことが人気の出る秘訣

なのだそうだが、はたしてこれを、日本的規律の美しさを日本人が愛しているから、ととらえてよいかははなはだ疑問である。だって、ユンソナは可愛く見えるかもしれないけど、男はどうなんだ。しかも、兵役を終えた大人の色男が、だよ。なんか、わきのしたあたりがかゆくないか、聞いてて。


ぶっちゃけたことをいってしまえば、彼らが日本語をテレビで話したり、ナントカの貴公子、などと言われることにわざわざ喜びを表明するような姿勢をとるわけは、そういうことをすることによってより財布の紐をゆるめるひとたちを集中的にターゲットとしている売り手側の戦略以外の何ものでも無いという見方がもっとも正しいと思われるのだけれど、なぜかって、あの台詞はみんな、好むと好まざるに関わらず、言わされているだけの言葉だからで、そこには、彼らの持っているであろう意思とか、心のありようなんかが、いっさい伝わらない気がするからである。


本来ならば、ストレートに良さを伝える言葉に、日本語変換などいらないはずだ。日本人は映画の吹き替えを好まないと聞くが、それは、ナマの外国人の声が聞きたいからだそうで、それゆえ字幕文化の発達した国だというのに、変な話である。



彼らのつたない日本語を聞いてどこかの誰かが喜んでいるかどうかわたしは知らない。そしておなじ意味で、マルシアやアグネスやデープ・スペクターやチャック・ニコルソンやフランソワーズ・モレシャンなどが、その言葉遣いゆえに多少なりともイロモノ芸能人扱いされているという事実も、いろんな言葉を話す他国の人々からは想像もつかない、ありかなしか微妙な話、なのである。