ぜぜが浜から吹く風は

潮の香りをなびかせて

高いあこうの木にとまり

かさかさと 葉を揺らします


嫁に来たての風の中

心細さに泣いてたら

”元気出さんね”と優しく

言ってくれたお義父さん


撒き風呂の火を煽る風

空に伸びてく白い湯気

湯加減を聞く懐かしい

声が心にこだまする


風の集まるこの場所は

愛した人が生きている

今も優しいほほえみを

風拍子に刻みながら



風になったお義父さん

また帰ってくるけんね

風拍子を刻みながら


風香