隣に座っているホステスが、大きな黒いつけ睫毛をぱちぱちさせている。
「でも、家具調ものは売れてますけど」
俺は斜め横に座っている若社長に答えた。若社長は、手にしてるシャンパングラスを傾けながら、それはどうも、という感じの顔をした。ドン・ペリニョンの桃色が、グラスの中で艶やかに揺られている。
「そこで、もう少し多めに収めさせて頂くことって、できないですかね?」
若社長が訊ねてきた。俺は、これ以上は難しいと思った。ただでさえ、今の売り場の半分を家具調仏壇で占めている。売れ行きはそれなりにはあるけれど、年配の顧客になればなるほど、家具調を嫌うところがあり、ある程度の仏壇を置く必要もあった。
「年配の方の場合、見栄えを気にするところもありますから」
俺は言った瞬間、余計なことを言ってしまった、と思った。
「恋敵=その後+752」―俺―