ギンチクさん
(銀竹:はい)
今やってまいりました
よろしいですか?
(銀竹:はい、どうぞよろしくお願いします)
はい、では話しましょう
皆さん
私は夏目漱石と言いまして
あなた方より少し前の時代に
この日本で小説などを書いておりました
現在もね
こちらに帰りやることは同じでね
小説やらエッセイのようなものを
書いては発表しています
我々というのはですね
あなた方地上の方々と何ら変わりなく
このように話しもすれば
天で過ごしているというわけであります
今日私がこの方に呼ばれたのはですね
まあ、前々からこの方が
私を呼びたいと思って下さっていてね
それが単に
実現したというまでのことであります
今、あなた方の日本というのはね
私たちの頃よりは
残念ながら精神的に品位の欠ける
教育体制となってしまっていてね
そもそも子供たちに
人生の大切な時間を共に過ごして
たくさんの心の素養を
身につけさせねばならぬ教師の方に
堕落した者も増えてしまった
子供たちを
自らの欲望の対象にしてしまうような
考えられぬ者もいます
このようなことではね
この日本の人々の行く末も
目も当てられぬものとなってしまいます
そういう根本的に人としての道徳観からして
教育というものを
抜本的に見直さねばならない
今はそういう時代でしょう
真に若者たちの未来を見据えて
社会に送り出してやれる素養をね
心から身につけさせ
自己を信頼し希望や夢を持って生きる者を
一人でも多く増やしたいと思うような
そんな教師がね
この日本にまた返り咲いて
日本復興の元となる若者たちを
輩出してほしいものです
さて、今日はね
晩年の私の話でも
少ししてみようかと思います
私は長いこと胃弱による病を患っていてね
床に就いていることも多かったのですが
自らの体と心との関係
自我というものの関係をね
必然的に思わずにはいられませんでした
何しろ他にやることもない
朦朧とした意識の中で胃はキリキリ痛み続けて
吐血などで体力もなく
もちろん物もろくに
食べられることもなかったのでね
とにかく頭の芯だけは冴えているわけです
暇を持て余して私は始終
そのようなことを考えたりしていてね
皆さんも授業で習ったかも知れぬ
一つの言葉に行き当たりました
それが所謂
「則天去私」であったというわけです
まあ、シンプルに申し上げれば
「天に則して己を去る」ということになりまして
この自分というものは
何か大きな力に常に育まれ
そして導かれ続けているようだ
ならば己がどうこうと
小うるさいことを考えることなく
全てをそれに任せて客観的に物を捉えてね
自我というものを
取り払って生きようではないか、とね
このような心境になったわけです
ここまで話せばね
なぜ私が今日
こちらに呼ばれたのかがよくわかってくる
天を中心としたこの地球救済計画と
私、夏目とは
何の因果もないように思い起こされるが
実は地球に生まれ地球に生きる者で
地球と因果のない者など
一人としていないのです
「則天去私」とはね
言うなれば
この地上部隊のメンバーの方々が
日々心を鍛錬して事に当たっている
その根幹ともいえる精神論に
合致していましょう
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