体があまりに辛かったある日、

私はとある自己啓発系の動画を見ていた。

 

 

男性が、引きこもり問題について、

熱く語っていた。

 

 

子供が引きこもりになるのは、親のせいと断言し、

これだけ与えてあげたのに、と引きこもりの親は必ず言う。

 

 

お金だけ与えて、愛をあげていない。

どれだけ与えたかではなく、どれだけ こめた かなんです。

 

 

そう言っていた。

 

 

私はそれを聞いて思った。

 

 

お金も愛だと。

 

 

これだけ与えた、言葉だけ取れば、いい風には聞こえない。

 

 

でも、世の母親が言いたいのは、

これだけお金を与えた、ではなくて。

 

 

これだけ自分の人生の大半の時間をかけて、

お金も愛も生活基盤も頑張って与えたはずなのに、

子供は感謝もせず、逆恨みしたり男に夢中になったり、

親なんて知るか、今は令和だ、子供は産まないし親の面倒も見ない。

だって遊ぶのに忙しいんだもん。

と、言われる事に納得がいかないと言っているだけだと思う。

 

 

 

お金がなくて親を怨む子供もいるし、

裕福な家庭で育っても、親を怨む子供はいる。

どれだけこめたかではなく、子供がどういう子だったか、

それに尽きるのではと最近思う。

 

 

 

自分なら、仕事を投げうってでも、

子供の傍について、引きこもり状態をなんとかするまで、

とにかく子供にかじりついて、向き合ってなんとかする。

 

 

そんな事を言っていた。

が、ご本人のお子さんは引きこもりではない。

 

 

私は思うのだ。

 

 

あなたには妻がいて、あなたには仕事があって、

あなたにはお金があって、あなたには家がある。

 

 

 

ではシングルマザーはどうだろう。

 

 

 

子供にかじりついていたら、来月の家賃はどうなる?

 

 

子供と向き合って、全てを投げうったら、

来月の食費はどうなるのだろう?

アパートはどうする?次の引っ越し費用はどこに?

 

 

夫もおらず、頼れる実家もなく、派遣社員で必死で子育てをし、

子供が引きこもりになったとしたら、

母親はどうすれば良いと言うのだろうか。

 

 

 

離婚するような男と結婚した方が悪い、

そういう事を平気で言う人がたまにいるが、

何故子供に仕送りもせず、子育てにも参加もせず、

好き勝手している別れた夫は責められないのだろう。

 

 

 

あなたが子供にかじりついてでも何とかすると言うのは、

食事や洗濯をする妻がいて、

ある程度の金銭をお持ちだから出てくる発想ではないだろうか。

 

 

世間の母親は、そんな事が出来るほど余裕がない人の方が多い。

 

 

 

私もそうで、食べさせるだけでやっとで、

娘にとっての百点の母親ではなかった。

 

 

 

私の父は、毎日少ないお小遣いで、

家庭に給料を入れていた。

 

欲しい物が沢山あったはずだった。

色んな物を、若い間に我慢して、

給料を家に入れた。

 

 

それはただのお金ではなく、

父の大変な苦労の末に得たお金である。

それを子供の私達は受け取り、体操服などの新品を着られたのだ。

 

 

嫌な事を言われても、

時には理不尽に叱責されても、

立ちっぱなしや座りっぱなしで長時間拘束されても、

我慢して頑張って、家族の為にと自分の時間を犠牲にして、

稼いでくれたお金だ。

 

 

犠牲と言う言葉がなんか違う、そういう人もいるだろう。

では、親が子供の健やかな成長の為に、

自分の時間やエネルギーと引き換えに、

金銭を与えた、と言えば気が済むだろうか。

 

 

お金だけ与えても、確かにそういうパターンはあるだろう。

でも全員じゃない。

世の親は、子供を少しでも豊かな暮らしにする為に、

自分の時間や気持ちを犠牲にして、働いている。

 

 

 

赤ん坊を人間に育てるのは、

とても大変な事だし、

自分の自由の時間を、ある程度犠牲にしないと、

子供は育たない。

一部の富裕層を除くとして。

 

 

で、結局どうやったら引きこもりが解決できるの?

更年期の話もそうだが、

最終的に、こうしたらいい、効果が絶大、

そんな話は出て来ない。

 

 

みんなが知りたいのは解決策であって、

必死でふらふらで子育てしてるのを、

責め立てられる事ではないんだが、

そこに少しも気づかないのは、

妻がいて安心して仕事をしているからではないだろうか。

 

 

そんな気がしてならない。

 

 

私は解決策が知りたい。

 

 

母親の子育てが悪いは聞き飽きた。

だからなんだ。どうすればいいのだ。

 

 

それを教えて欲しい。

 

 

言えないのなら、母親を責めるのをやめてくれ。

そう思うのだった。