先日思う所があり、娘がトゥレット症候群だった話を書いてみる。

 

一応過去形にしたのは、症状の8割がなくなり、

日常生活が送れるようになったからだ。

 

最近、お子さんがチック症やトゥレット症候群で悩んでいる方が多いと知り、

何が出来るわけでもないが、こんな一例もあった、

と知ってもらえたらいいなと思い書く。

 

 

チック症、トゥレット症候群については検索していただければと思う。

ちなみに私の娘の体験談であり、全員がそうではない事を伝えておく。

 

 

ついでに娘の時はスマホやネットの普及がなく、

情報は本屋さんで手に入れる時代で、

それらも最新のものとは言えず、チック症を理解するのは大変だった。

 

 

 

 

私の娘がチックの症状が出始めたのが、

5歳くらいだったと思う。

 

最初の頃は、目をパチパチさせる程度だった。

 

 

そこから小学生になると、目玉が回転するようになった。

ふざけて白目をむく人がいるが、

5分に一度、白目になる。

 

 

それは母親から見ても、気持ちの良いものではなく、

でも本人は特に自覚症状もなく、

チックが出ているとは気づいていなかった。

 

 

そこから指差しを何度もするようになり、

常に空中に向かって指差しをする。

 

何を指差しているのかと聞くと、

本人は指差しをしている認識がない。

 

 

テーブルの角を触らないと食事が出来ず、

味噌汁がこぼれるくらい毎回触る。

 

本人にゆすらないでと伝えるも、

ゆすっている認識がないので、何故叱られているのか分かっていなかった。

 

 

唇をずっとなめて真っ黒になり、

なめないように注意しても、自覚がないので止まらなかった。

仕方がないので常にリップクリームを唇に大量に塗り、

舐めると気持ち悪い味がすると認識させ、

リップクリームてんこもりは唇なめを辞めさせるのにかなり効果があった。

 

 

チック症からトゥレット症候群に移動したのが、

小学校の高学年に上がった頃だった。

 

 

ちょうど5年生くらいだったと思う。

 

 

その頃には上記の症状にプラスして、

匂いかぎ、ふんふんと延々言う、両手の筋肉が突っ張って常に伸びる、

白目は一日中(本人は自覚症状もなく元気)

ビートたけしさんの肩回しの5倍くらいの肩回しの症状が出て、

合唱などの発表会で、一人だけじっとしていられず、

すぐに娘がどこにいるか分かるくらい酷かった。

 

 

クラスメイトには、なんで白目むいてるの?

頭がおかしいの?

 

 

と酷い事を平気で言われ、

わざと真後ろに張り付かれて、肩回しを延々真似されたり、

キモイとか頭がおかしいとか散々言われ、

指を刺されて笑われるようになった。

 

 

が、そのうちクラスメイトも慣れてくると、

珍しくなくなり、娘のトゥレット症候群について、

とやかく言わなくなった。

 

 

娘の症状は5年生からどんどん強くなり、

ちょうど心臓の検査で引っかかった時に、

小児科の先生に相談すると、

MRIを撮ってみましょうと言われた。

 

 

心臓は日常生活には問題がなく、

MRIは至って健康で、問題がなかった。

 

 

発達障がいの診断をもらい、

専門の精神科に行って薬を飲んだ方がいいと言われ、

紹介状を渡されたのが中学二年生くらいだったと思う。

(うろ覚えなので少し時系列が違うかもしれない)

 

 

夫とも相談し、娘とも話し合い、

精神科に行って薬をもらう事はとりあえず延期にして、

娘が大人になっても、まだ症状が強い場合、

娘本人の判断で、診察に行き、投薬治療を選択する、

という判断に至った。

 

 

それが正しいのか間違っているのか分からないが、

思春期の脳に強い薬を入れる事に不安があった。

 

 

トゥレット症候群の症状はとても酷かったが、

薬を飲んでそれらが全部なくなるわけではなく、

緩和される代わりに副作用の説明もある程度受け、

メリットとデメリットを天秤にかけて、

デメリットの方が当時は多そうだったのでやめたのだった。

 

 

今は新しい専門の薬があるようで、

飲んでいる方も多いようだ。

私はその辺は詳しくないので分からないが、

不安な方は、小児科を通して紹介状を書いてもらい、

専門のところで診てもらう事をお勧めする。

 

 

娘の症状は中学校の時が一番ピークで、

高校生に上がる頃から、少しずつ減って行った。

 

 

高校を卒業し、大学生になる頃には、

トゥレット症候群の症状は、見た目にはほとんど分からなかった。

 

 

ふんふんや匂いかぎ、白目は小学校高学年の数年間がピークで、

中学生になると肩回しなどの運動性チックの方が酷くなった。

 

 

最終的に、腕の筋肉が定期的に突っ張る事と、

テーブルの角を触らないと食事が出来ない以外は、

症状がなくなった。

 

 

腕の突っ張りは、母親の私しか気づかない程度になり、

テーブルの角は外で外食する時はほとんど出ないそうだ。

 

 

トゥレット症候群の症状は、リラックスしている時に強くなるので、

自宅で酷くても、学校では意外と症状が少ない事も多い。

 

 

大抵は症状が出始めてから思春期がピークで、

それ以降は20歳にかけてゆるやかに減っていき、

そんな事あったっけと思うレベルには落ち着くと思う。

 

 

トゥレット症候群は男の子の方が圧倒的に多いようだが、

娘はとても酷かった。

 

 

夫が子供の頃、自分もトゥレット症候群だったと思うと言っていたので、

(昭和の話なので、誰もそんな症状を知らないのだった)

娘の事は、大人になったらなくなるからと、

夫は気にしていなかった。

 

 

当時は不満に思ったが、夫の言う通りになったので、

夫は当事者としての意見を言っていたのだと知った。

 

 

お子さんが今トゥレット症候群かも、チック症かも、

と心配されているお母さんが多いかもしれないので、

何かの参考になればと思い、これを書いている。

 

 

過去の自分の反省点もふまえて、

もう少しこの事については書こうと思う。

 

 

現在トゥレット症候群で悩んでいるお母さんの心が、

少しでも軽くなればと思う。