久しぶりの診察の日だった。
前回、先生に元気そうに見えるだの、
偏頭痛薬はまだいるかなど聞かれ、
肩たたきに遭っている気がしていた。
私は待合室で目を閉じて、
先生に何をどう伝えようか考えた。
過呼吸と動悸で息が苦しい。
待ち時間が嫌で仕方がない中、
先生に伝える事を三つに絞った。
先生に挨拶をして椅子に座ると、
先生に三つ伝えたい事がありますと言った。
先生は、ハイハイ、どうしたの?
とにこやかだった。
一つ目は書類の手続きの事で、
先生は分かりましたと言った。
二つ目は夫の運転じゃないとこの病院に一人で来られないくらい体が辛い、本来なら偏頭痛薬は違う病院でもらうべきなのは理解しているが、
一人でとても別の病院に通えないので、
偏頭痛薬を出して欲しいとお願いした。
先生は分かりましたよとにこやかだった。
三つ目は抗不安薬の処方量の事。
私はレキソタンを一日一錠、月の平均ニ錠くらいを飲んでいる。
私は意識せず飲み忘れで減薬していくスタイルで、時間をかけて一日六錠から1錠に減薬できている。
辛い日は増やし、調子の良い日は飲むのを忘れている。
気づけば一ヶ月半分も余っていた。
カレンダーに一応飲んだ量を書いているのだが、
多分飲んだと思って飲んでいない事が多いのだと思う。
減薬は人それぞれ合うやり方でやると良いと思う。
私はADHDの特性で大雑把で集中力があまりないので、辛ければ罪悪感なく飲み、
(これを飲むと良くなると思い込む)
辛くなければ(無意識に)飲まないようにしている。
なので今月の処方量をこれくらいにして欲しいと伝えると、先生はそんなに余ったの、
良い事だねと笑ってくれた。
伝えたい事が伝えられてとても良かった。
本来の私は市役所で書類の一枚も、
まともに受け取れないような人だった。
夫がASD風味で、家を建てる時も、
引っ越しの手続きも、
子供の色々な手続きも全て、
ほとんどの全てを私がした。
ついでに仕事でも人からクレームを電話で受けて、謝罪しつつ交渉や打ち合わせをし、
お客様の為にありとあらゆる所に電話をして、
交渉する作業を長年やって来た。
とても大変だった。
初見の人に電話する事がとても怖かった。
気づけば交渉しない事があり得ない人生になっていた。
私には出来ない事が多かった。
交渉は最も不得意だった。
子供の為に必死でやった。
とても辛かった。
でも今、あの頃の交渉術が、
役に立っていると気づいた。
あの頃を乗り越えたから、
先生に言いたい事をうまく伝えられるのだと気づいたのだった。
次の診察は二ヶ月後だ。
もうちょっと元気になっていると良いなと思う。