昨年末、

義父がどうしても急ぎの書類があると言い出し、

自分で作ったが出来なかったと言い、

助けてくれないかと電話があった。



私は絶賛偏頭痛中だったが、

電話の向こうで義母に怒鳴っているのが聞こえた。



お前には分からない


あれをどこにやった


みかんさんにしか作れないんだ



そんなような事を、

電話の合間に義母に怒鳴っていたので、

私はすぐに行くからと言って、

上着を羽織ってすぐに向かった。



部屋で義父の書類を手伝っていると、

ふすまに人影が見えた。



義母が、体をすくめて、じっと立っている。



義母は私に見られていないと思っているが、

日の光の加減で、義母のシルエットがはっきり浮かんでいた。



私は知らないふりをして、

義父と書類を作っていた。



義父は私に必死で分からない所を聞き、

説明され、やはり理解できず、

昔はできたのに、どんどん出来ない事が増えて行くと、嘆いていた。



それをじっと動かず聞いている義母のシルエットは、お化けのようで、恐ろしかった。



しばらくして一度引っ込んでから、

はたきを持って部屋に入って来た。



私は義母に挨拶をし、

義母も挨拶をしたが、

その目は血走っていて、

あの時の女の子を思い出させた。



家に帰ってとても疲れて、

これからもっと老いて行く義父母と、

どう付き合えば良いのか、

途方に暮れた。



義父に変な気持ちはないし、

私は良かれと思って手助けしているが、

義母の嫉妬はそんな事を考慮しない。



私はこういう事がとても苦手で、

泣くほど嫌だと思う。



今まで自分の気持ちを飛ばして、

気にしないように生きて来た。



でも、それだと病気になる。



自分の心を主軸にしないと、

辛い事、嫌な事は認めてあげないと、

もう体がついて来ないのだ。



だから私は義母の嫉妬が嫌だ。



本当に嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。



私はただのおこたの住人で、

義母ほどお金持ちでも健康でもない。



高い服も着物も持っていないし、

習い事だってしていない。



旅行にもしょっちゅう行けない。



ただ寒い部屋で灯油を節約しながら、

おこたでめまいで揺れながら、

ぼんやりと暮らしているだけだ。



それでもまだ足りないのか、

女として義父に見られたいのか、

あんな目で息子の妻を見るのか、

私もそんな風になるのか。



私の母は弟の奥さんとたまにランチに行って、

弟の愚痴をひたすら聞いてあげて、

お小遣いを少し渡していると言っていた。



弟には言わずに自分に使えと。



私は母のそういう所が好きだった。



義母はそうじゃない。



私が持っていないモノを全部持っていて、

まだ足りなくて血走った目で睨む。



高級車も持っている、

大きな家、地元のブランドショップの服、

義父はいつだって義母の言いなりだし。



それでも足りない。



私が何をしたと言うのだ。



もうほうっておいてくれないだろうか。



もう一生心が交わる事はないのだから。



終わらないけどおわりのはなし。