戸田の女
仕事もしないで、寝起きで埼京線に乗っていました。
髭も生やしているし、パーマでごまかしているとはいえ寝癖もついていました。
高校時代はバンドマン。
ギターやベースを弾いて、女性に不自由はしていませんでした。
カッコよかったというよりカッコつけていたといったほうが正しいかもしれない。
戸田公園で快速はとまり、女が乗ってきました。
「あっ」
誰かと思ってみると、どこかしら面影が。。
高校のクラスメートのようです。
岡山から出てきて2年目に、東十条という土地で同級生の女に会ったことがありました。
それ以来の衝撃です。
「久しぶりだね」
そういって彼女は横に座りました。
昔、それなりだった私。
寝癖や髭はとても恥ずかしく、過去の栄光を話しながら、
現状の言い訳をしていました。
バンドをやっていたこと、自転車を教室の真横にとめていたこと、
ロン毛だったこと、今となってはかっこいいのかどうかわからないことをとにかく話し続けました。
話せば話すほど彼女の表情が曇っていきます。
言い訳が逆効果だったのか、はたまた自慢話にあきれられたのか、
わからないまま電車は新宿につきました。
そして、彼女は一言「私、女子高」といって去っていきました。
時間と発言を返してください。
ていうか、誰だったんだろう。。
