またシリーズ物の途中から読んでしまいました。
谷春慶「筆跡鑑定人、東雲清一郎は、書を書かない。」
鎌倉学院大学2年生の近藤美咲は友人雪穂から字の相談を受け、書道部で筆跡鑑定もする東雲清一郎に頼む。美青年だが毒舌で人を寄せ付けない東雲は偶然雪穂と同じ野良猫をかわいがっていることがわかり、その相談を受け、猫とその首輪の中の手紙にまつわる謎を美咲と解いていく。
シリーズ2作目の本でした。一応2作目からでもわかるようにはなっていますが、1作目の話をひきずっているところもあり、1作目から読むべきでした。
4つの短編からなっています。1,2編は猫や飲食店の謎を解くべく鎌倉の街を歩き回り、まったりした話。あまり書とも関係なくいまいちだったか、と思いながら読んでいると3,4編は書に関する話で少し重め。前作で東雲は美咲が原因で書のコンクールに出展しなければならなくなったようで、3編目でスランプに陥った東雲は酒に溺れ壊れてしまいます。
4編目では古書画の鑑定依頼を受け、怪しい骨董屋に睨まれてしまいます。書の種類や古書画について、鑑定などの説明が興味深かったです。最後の骨董屋との駆け引き、東雲の負けでしたが後を引きそうな展開で終わりました。ただ鑑定に巻き込んだのは大学の教授というのがどうなんだろう、とは思いました。教授と東雲の間にも何かありそうです。
美咲と話すことで最後にスランプから脱しコンクールに出展したけれど、どんな書かは美咲にも内緒で、今度コンクールを見に行く、と美咲が話すところで終了。気になるので次回作も読むことになりそう。その前に1作目も読むか。
最初にでてきた雪穂は手紙の返事が書きたいが字が汚くて出せないでいました。私もとてつもなく汚い字で、自分で書いた字も後で読めないことがよくあり、雪穂の悩みが痛いほどわかりました。きれいな字を書くポイントが書かれてあって真剣に読んでしまいました。きれいにはならないまでも読みやすい字にはなりたいものです。もうこの歳では無理かな。