純喫茶「一服堂」の四季 | soralibro

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通勤時の読書の備忘録です。

東川篤哉といえば「謎解きはディナーのあとで」よく読ませていただいているブログで伏線が見事と紹介されていました。
ドラマは見たけれど小説は読んでいないので、ぜひ読んでみたい。
今回読んだのは東川篤哉「純喫茶「一服堂」の四季」

鎌倉の住宅街にある喫茶店「一服堂」店主のヨリ子は極度の人見知りで接客もほとんどできない。そこに雨宿りのため来店した雑誌記者村崎蓮司は、同席した刑事夕月茜に自分が遭遇した殺人事件の話をする。それを聞いたヨリ子は人が変わったように事件を解明する。十字架磔された殺人事件2件、バラバラにされた殺人事件2件の謎を解いていく。
 
安楽椅子探偵の典型的な小説です。ヨリ子の名前は安楽椅子と書いてアンラクヨリコと呼ぶ念の入れようです。
でてくる事件は結構凄惨なものです。動機には関心がないというヨリ子は十字架磔やバラバラにされた必然性から事件を解明していきます。話の節々にヒントはあり、ヨリ子の謎解きを読めばなるほど、と思い至ります。どの事件も殺人行為としてはかなり無理があるのでは、と思わなくもないのですが。
 凄惨な事件なのに文章が軽いタッチなのであまり暗くはなりません。登場人物が皆個性的でコミカルな掛け合いで話がすすんでいきます。作中の小説家がユーモアミステリー作家と名乗っていますが、まさにそんな感じです。でもミステリーとしても凝っていて、鮮やかな謎解きで楽しめました。そして題名の四季というとおり4つの事件が語られ、最後に大きな仕掛けがありました。