十二国記 月の影 影の海 | soralibro

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通勤時の読書の備忘録です。

先日、習っているお茶の先生が十二国記にはまっている、とお稽古中に話されていて、昔アニメで見たな、と思い出していました。さて、原作本は読んだのだったかしら。20年前のことで覚えていない。アニメと原作が最初の設定から違うと思った記憶はあるので、多分何冊かは読んでいるのだと思うけれど、数年前に久しぶりに新刊が出たと話題になったときは興味がわかなかった。以前は海外ミステリーばかり読んでいたので、印象が薄いのだろう。
最近もどちらかというと小野不由美はホラー小説の感じが強くてあえて読むことはありませんでした。
いつもは図書館派の先生がそれでは間に合わず全巻大人買いをして一気に読んだ、と言います。アニメでしていた、というとそれからネットで一気に見たそうです。読書家で知識も深い先生がそこまではまるなんて。
とりあえず1冊読んでみよう、とブックオフで購入
 
「月の影 影の海 上巻」
女子高生中嶋陽子の許に突然ケイキと名乗る男が現れ、それとともに怪鳥に襲われる。ケイキは陽子に剣を渡し、異界へと連れ去った。異界でも妖魔に襲われケイキとはぐれた陽子は一人で妖魔と戦いながら異界をさまよう。故国に帰ることだけを心の支えに、出会う人に裏切られながらも戦い続けるが、ケイキに似た女性に右手を切られてしまう。
 
上巻はずっと陽子が彷徨うシーンで、ひたすら暗い。見知らぬ土地、慣れぬ戦い、たまに会う人には売春宿に売られそうになったりお金を盗まれたり、裏切られるばかりで人間不信に陥ってしまう。剣が見せる故郷の幻影では、友人と思っていた同級生には悪口を言われ、母親にも理解されない現実を見せつけられる。それでも帰りたい。このままいるよりは死ぬ方がずっと楽だ、というところで終了。
これではあまりに後味が悪すぎる、とすぐに下巻を買いにまたブックオフへ。
なぜか上巻は新潮文庫、下巻は講談社文庫でした。

下巻は明るい兆しが現れます。
怪我をして倒れていた陽子を救ったのは半獣の楽俊。治療し、今いる巧国では捕まれば殺されるので雁国に行き延王に会うことを勧めてくれ、一緒に旅をすることになった。いままでのことで人間不信の陽子は楽俊のことも信じられず、一度は見殺しにするが運よく再会する。延王に会った陽子は自分がケイキによって選ばれた慶国の王だと知る。
 
今はやりの異世界物とはレベルが違う。小野不由美の文章に圧倒される。異界の情景が細かに描かれているが、想像力の乏しい私にはついていけない。アニメでおさらいしなくては。異界では一人、でも故郷でも居場所がなかったことに気付かされる陽子の絶望、それでもなぜ戦いながら生きようとするのか。楽俊と出会い、少しずつ人を信じるようになっていき、道が開かれていく。王だと言われても、自分は卑怯で愚かで王の器ではない、と悩む。これから王となり慶国を立て直していくことになる陽子の人となりがこの2冊ですべて表されているようです。
アニメは陽子が主人公でずっと陽子のストーリーでしたが、小説は主人公が入れ替わり色々なエピソードがあるようです。
全部で15冊。一気読みするほどははまらなかったけれど、少しずつ読んでいこうかと思います。