高校生のころ、わたしの学年は9クラスのうち3クラスが「女子クラス」という男女比率で、
1年生のときのわたしは「女子クラス」だった。
だから、わたしは男女共学校へ進学したにもかかわらず、男子生徒と交流できる機会は少なかった。
わたしの場合、男子部のマネージャーをしていたので、部員との交流は当然あったのだが、部員たちは残念ながら恋愛対象ではなかった。
そんなわけで、男子と出会い恋をするというチャンスが1年生のころはほぼなかった。
しかし、2年生になり、わたしは晴れて男女混合クラスとなった。
同じ教室に男子がいる!
となりの席に男子がいる!
これぞ、憧れの高校生活!
(1年間の女子クラス生活でだいぶ飢えていた。)
少女漫画みたいなクラスメイトとの恋に密かに憧れつつ、新生活をスタートさせた。
はじめは同じクラスになったラグビー部員と話をするぐらいしかできなかったが、徐々にクラスの男子たちとも仲良くなっていった。
野球部員のOくんもそんな一人で、席が近くなったのを機に、他愛のない会話をよくするようになった。
高校野球が好きだったわたしは、Oくんにそのことを話し、野球のことをいろいろ教えてもらったりもした。
Oくんは、1年生のころからすでに試合で登板していた学校期待のピッチャーだった。
住んでいる地域はちがかったのだけど、ある日の下校時、学校で話に花が咲いて止まらなくなり、Oくんがすこし遠回りをしてくれて途中まで一緒に帰ったことがあった。
そのころすでに、わたしたちはお互いに好意を持ちはじめていたのだろう。
時折そんな風にして、一緒に帰るようになった。
ある夏の日、
その日もわたしたちはおしゃべりを楽しみながら途中まで一緒に帰ったのだけど、
別れ際にOくんが唐突に言った。
「おれがあいちゃんのことを、甲子園に連れてってやるよ。」
今思えば、まさに少女漫画の世界みたいな台詞だよなあ。
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