私はこの作品が心底好きなので、
私なりに感じたとおり、考えたとおり、作品の良さについてできるだけ具体的に、
わかりやすく書いていきたいと思います。
できれば100コ!そういう企画です(`・ω・´;)
基本的に、この企画は(勝手にやっているのですが)ネタバレを前提、
作品を見ている人を前提としていますので、ご承知の上でよろしくお願いします。
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●ベッドインはおおかみで
~人間の姿ではいけない理由~
ベッドインのシーンについて、なぜ彼はおおかみの姿なのか、
という疑問をお持ちのかたがネット上にはいらっしゃるようです。
(単純に、おおかみの姿で行為が行える……のか?と思う人も)
おおかみこどもの雨と雪、の中ではかなりインパクトがあるシーンですね。
あのシーンに関して、
私は、ベッドインは必ずおおかみでなくてはならなかったと思っています。
人間の姿ではいけなかった、と思っています。
あれは「性行為」のシーンではありますが、意図は性的な部分にはありません。
まず、彼はおおかみであることを花に打ち明けるのに時間を要しています。
当たり前ですが、おおかみの姿を見せたらどうなるか、といった不安が駆け巡ったはずです。
それでも花にその姿を見せたのは、彼らがパートナーになるためには必要であったからです。
あのベッドインは、おおかみである彼を花が受け入れるとても大切なシーンなのです。
ふるえる花に、彼は「怖い?」と聞き、
花は「怖くない……あなただから」と答えます。
何が怖いのか?
2つの怖さを尋ねていると思います。
1つは性行為そのものに対する怖さです。
もう1つは、おおかみである彼に対する怖さです。
だからこそ、おおかみの裸の姿をすべてさらけ出して、尋ねています。雨も言っていましたが、おおかみはいつも怖がられ、嫌われる存在ですし、明らかに人間の姿ではない、獣の姿ですから彼は尋ねたのです。
そういう意味で、花の返事は彼にとって最高の返事だと思います。
また、花が受け入れたことは動きにも現れています。
シーンでは暗がりの中、右側の彼が左側の花に倒れかかるようになり、シルエットが一つになって、二人は画面から消えます。
もちろん、男性がエスコートをした、という見方もあるのですが、
花がまず寝て、上から彼が覆い被さる、ということで花が彼を受け入れたことを表しているのではないでしょうか。
あのベッドインには、花の胸や尻を映す意味も無いし、
実際の行為を映す意味もありません。
それは細田さんの想定している視聴者、家族や多くの人には相応しくないですし、意図がずれてしまいます。
シーンとして必要であるからベッドシーンを描いた、
しかも下品にならないように。このバランス感覚こそ細田さんの魅力ではないか、と思います。