ふと,『彼氏彼女の事情』について思い出しました。

TV放映のを録画していたので,何回も見ていました。

もしかして自分のルーツになっているのかもしれません。


今思えば,母子父子家庭,離婚再婚,仮面優等生,コンプレックス,アイデンティティの確立,

思春期の恋からsexまで,たくさんのテーマを扱っていた作品だと思います。

庵野監督のエヴァ後のTVアニメ作品ですね。(途中降板か何かでしたけど)






その中でも,私が一番好きな回がACT16.0「永遠の点綴」です。

点綴(てんてい)は,散らばっている物をほどよく綴(つづ)り合わせること,だそうです。


アニメに関するブログ




主人公の両親の話で,本編とは直接関係ないので,

独立した30分アニメとして見られる物凄い完成度の話数です。

基本的には,モノクロの回想が中心で,

幼馴染である両親の馴れ初めとともに、祖父(主人公の曽祖父)との別れを描いています。




当時,主人公雪乃の父・洋之には両親がおらず,祖父(じいさんと呼んでいる)と2人で暮らしていました。


要約すると,

父・洋之がどういう風に大きくなって,

祖父の老いをどう感じて,

どういう風に恋をして,

育ててくれた祖父の死をどう受け止めていたのか,を描き,

今の幸せな三人娘との家族につながっていくお話です。


30代後半で中~高校生の娘三人をもつ両親の今までの一生を

回想形式(父親視点)で

20分(TVアニメなので)かそこらで描くというのがスゴイです。

しかもその見せ方が上手いのです。






私が何で思い出したかと言うと,

時の流れの演出と,

持ってるテーマがおおかみこどもと同じだからです。







どう同じかと言うのは,

今回の話の最後,父・洋之の祖父が亡くなった日の2人の台詞に集約されています。

(父・洋之は,育ててくれた祖父に恩返しがしたくて,

高校卒業後の進路は就職を選び,

内定ももらっていた矢先に祖父が亡くなったのです。

アニメ流しながら,セリフ手打ちしましたw)

都香というのは父・洋之の幼馴染で後に結婚する主人公の母です。



洋之

「どうして間に合わなかったんだろう。

 あんなに愛していたのに。

 何もできなかった。

 いつも怖かった,いつかはじいさんと別れなきゃいけないことが。

 それなら何かを残してからにしたかった。なのに。

 苦しい。

 何も残せなかった。
 自分のしたかったことばかり。
 頭の中でずっと,もう何もできなくなってしまった。」





都香
「おじいさんはそんな風に思ってらっしゃらなかったかも知れないよ。

 きっと,おじいさんの愛はもっと大きかったよ。

 ヒロちゃんがただこの世に生まれてきてくれただけで,

 充分満たされるくらいに。

 きっと,愛はそれほど深いんだよ。

 私じゃ,おじいさんの代わりにならないかな?」





洋之
「このあと,俺たちは都香の高校卒業を待って,すぐ結婚をする。

 翌年から三年続けて,かわいい女の子に恵まれ,

 生活は苦しいけれど,幸せだった。

 今ならじいさんの気持ちが分かる。

 生まれてきてくれただけでいい,

 それだけでうれしいから。

 じいさんの思いは今,俺の中に流れ,

 子供たちに受け継がれてゆく。

 愛は広がってゆくものだから。」





というわけです。

愛に対する姿勢はおおかみこどもと同じで,

切り口が,祖父の死と,回想による父親目線,ということで少し違います。



また,父・洋之はスラムダンクの桜木花道役などの草尾毅さんですが,

上の台詞のとき,悔しさなどいろいろ含んだ泣きながらの演技は印象的でした。



今見てもこの話数は素晴らしいと思います。

良いアニメでした。(後半総集編ばっかりだったけどw)