今晩は。

 

いつもご訪問ありがとうございます。

 

昨日今日と冷え切った雪の弘前です。

           

 

 

 

 

さて、今日は『澁柿園』3月号(通巻595号)の「一面鏡」をご紹介します。

  

「一面鏡」とは歴代の澁柿園代表が綴っているエッセイや俳論などの欄で、

 

毎号巻末に掲載しています。代々の代表が毎号綴って来たので、今号で

 

595回目になります。

 

 

 

  雪の結晶 雪の結晶 雪の結晶 雪の結晶 雪の結晶

 

一面鏡(595回)

    

   <俳句の辺>(32)

            木田多聞天 

   

  『澁柿園』巻頭句あれこれ⒃

   

◇対馬迪女の巻頭句②

 

  ポタージュにハーブの香り春の雪  迪 女

     (『渋柿園』  第490号 平成二十七年)

  佐野ぬいのステンドグラス越しの秋

     (『渋柿園』  第495号)

  陽の力風の力や三月来 

     (『渋柿園』  第501号 平成二十八年)

         チューリップピンク  チューリップピンク  チューリップピンク   チューリップピンク  チューリップピンク

  

    破れ蓮の声なき声を聞くばかり

     (『渋柿園』  第509号 平成二十九年)

  安らけき母の寝息や去年今年

     (『渋柿園』  第511号)

  気ままとは孤独なことよ春の鴨

     (『渋柿園』  第526号 平成三十年) 

  

  花は葉に拭けば艶増す」津軽塗

     (『渋柿園』  第527号)

  星ひとつ落ちて来さうな雪の原

     (『渋柿園』  第536号 平成三十一年)

  

    本棚にできし空間冴え返る

     (『渋柿園』  第537号 令和元年)

                                              チューリップ紫  チューリップ紫   チューリップ紫  チューリップ紫 チューリップ紫

    

    水打ちて草の匂ひの立ち上がる

     (『渋柿園』  第542号)

  少しづつ受け容れる老い菊日和

     (『渋柿園』  第544号)

  手探りの看取りの日々や明け易し

     (『渋柿園』  第553号 令和二年)

  

    園出でて菊の香りを抜けきれず   

     (『渋柿園』  第557号 令和三年)

  川底に動く命や水温む  

     (『澁柿園』  第561号)

  遂につひに母は百歳梅は実に   

     (『渋柿園』  第564号)

  茄子の艶きしきし洗ふ夕厨

     (『渋柿園』  第566号)

  歩くことこんなに楽し秋日和

     (『渋柿園』  第568号)

  

      チューリップ黄 チューリップ黄 チューリップ黄 チューリップ黄 チューリップ黄  

  また母に想ひの及ぶ春夕べ

     (『渋柿園』  第575号 令和四年)

  急坂のやうな七十路更衣う

     (『渋柿園』  第576号)

  ちよつとだけの積りの昼寝たつぷりと

     (『渋柿園』  第577号)

  向日葵の明るさにある翳りかな

      (『渋柿園』  第578号)

 

  虫啼けるひとりの夜の死生観

      (『渋柿園』  第591号 令和五年)

 

 

 

 

八戸えんぶり ②奉納から行列まで》

 

(前回からの続き)

 

2月17日朝7時前、長者山新羅(しんら)神社の境内に入ると、

大ぜいの朳(えぶり)衆がいた。

今年は30組以上は出ていたらしい。
  

俳句結社「たかんな」(主宰吉田千嘉子さん)が刊行した

「えんぶり彩時記」(平成30年)は

えんぶりだけの俳句を集めた歳時記で掲載句は616句。

 

今回は拙写真に

勝手ながらその句を載せ、ご紹介していこうと思う。

 

 出を待つて逸るえぶりの笛太鼓   三野宮照枝

 朳笛少女清しき瞳もて吹く     駒津 薫子

 

 

 

すごい人だかり。取材記者たちも

一般客が挟まってくるので大変だったろう。

 

 

 

 

 

 

神前に一刀捧げえぶり摺る     藤木 俱子

朳奉納一番乗りの気息満つ     吉田千嘉子

農継ぐと決めし太眉えぶり舞ふ   奥田 卓司

 

土も覚めよとえんぶりの鈴鳴らす  鷹羽 狩行

えんぶりの杜へ真新ラの雪を踏む  土井 三乙

えんぶりを見に行く雪の深さかな  神野 紗希

 

 

 

一番札の組から五組くらいの奉納を見ただろうか。

私たちは男坂を慎重に降りながら広場へ向かった。

 

 

取締りえんぶりの幟旗。烏帽子も帯刀もきれいに並べられ、

さすがの取締(昔いざこざを取り締まったそうである)である。

取締り組は6組ほどあって、一番札取には参加しないとのこと。

 

 

 

えんぶりの幟を雪にどかと刺す  佐々木茂子

 

えんぶりや我が町名の幟旗    北村 貞美

 


 

 

行列に参加する子たちが控えていた。みんな本当に可愛らしい。

撮らせて!と声をかけると

みんな微笑んでくれた。この子たちは祝福芸をやってくれるのである。

 

はにかみの紅ほんのりと子朳    鈴木志美恵

 

 

 

 

朝食をとっていなかったので、途中ドトールに寄り身体を温める。

それからホテルの荷物を整え、また行列を見に。

 

沿道はいつのまにかすごい人込みになっていた。

 

 

 

 

 

 新参の朳太夫の顔見せも        工藤あきら

 

 えんぶりや烏帽子はローマの武将とも  中崎 良子

 

         (俳句は『えんぶり彩時記』より抄出させていただいている)

 

 

私達はまた昼食時間に合わせて待ち合わせ、

 

吉田千嘉子さん(たかんな主宰)と岩村多加雄さん(たかんな編集者)のお二人の車に分乗し、

 

八食センターの市場寿司へ。

 

(えんぶり③につづく)