図書館にはリサイクルコーナーがあって、ワタシもずいぶん貢献したと思う。

近頃はちょっと覗いて、興味のある本を持ち帰り。

読んだらまた、戻したり。

基本、しちゃ駄目だけどさ。

 

で、毎回目撃するのが、朝一番にそのコーナーへ突進していくご老人連中。

ほぼ、爺さま。

婆さまもいるけど、朝イチは100%純度で爺さま。

そして、群がって本を漁る、漁る。

 

まず、自分の陣地を確保して他の連中を入れまいとする。

そして端からゲット。

ビニール袋やらトートバッグやらを駆使して、詰め込みまくる。

 

ある程度好みのジャンルがある人もいるし、とにかくバックリ、食べまくる人も。

あんなに読むのかなあ、ブックオフにでも売りに行きたいんだろうか。

でも、タダなら引き取る、もしくはそれでも駄目レベルの本ばかりなんだけど。

 

1回で終わるのかと思ったら、車に本を放り投げてきたらしく、鼻息荒く第二戦。

どんだけ強欲なんだよ。

タダならなんでも良いんか。

実際、絶対読まなさそうなシリーズのマンガを端から袋に押し込んでたし。

 

まあ、白けつつ呆れつつ、その合間を縫って本を見てると、あら、見覚えが。

明らかにワタシが放出した本じゃないの。

汚れ具合、傷、見りゃ分かるのよ。

不思議と持ってた本ってどんな有り様になっても分かるんだよ。

 

思わず手に取る。

ごめん、と謝る。

そのまま棚に戻すことも有り、もう一度だけ読んでみるか、と拾い上げることも。

 

もともと気に入ってた本たちだからね、情が移る。

特にあの連中に持ってかれるくらいなら、とレスキューしちゃう。

で、持て余す。

だって、一度は手放したものだからね。

 

でもさ、ああいう爺さんたち、欲の皮の突っ張った皆さん、もう、立派な後期高齢者のようだけど、あのバイタリティ。

見習いたくはないが、きっとどこまでも生きていくんだろうな、と思う。

他人の頭を踏んづけても、自分だけは生きる、という意欲満々。

そういうのはある意味、凄いけど、あんまり幸せそうには見えないな。

 

ワタシだって興味のある本があれば拝借するつもりでいただく。

そして前述のように読んだら返しとく。

前は捨ててたけど(そうしてくれ、と棚に書いてある)、やっぱり本を捨てるのは抵抗があって、そっと戻しとくとその強欲爺さんたちが漏れなく持って行く。

まあ、それはもう、どうでもいい話。

 

あれくらいの覇気が無いと、戦中戦後、生き残れなかったのかなあ。

でも、バブルも経験してるよね。

日本がブイブイいわせてた時代を駆け抜けて、今は図書館の本を漁る。

そういう人って館内の本は無視して、リサイクルコーナーだけ行って帰っちゃう。

なんか、あんまりにもキッパリしすぎて、ちょっとボーゼン。

まあ、館内でも爺さまたちはたいてい新聞に群がってるだけだしね。

 

家で引きこもるより良いだろう、とは言い難いのは、あまりにもその争奪戦が激しくて、しかも常連同士で他の人間をブロックするから。

なんか、全部が我が物顔で困った、困った。

こういう風に年を取るのは寂しいことだって思わないのかな。

 

ワタシができるのは、人の振り見て我が振り直せ、だけ。

他人にどう思われようと構わないけど、少なくとも顰蹙浴びるのは。

年取ること自体が哀しいものだから、余計に惨めなことは避けたい。

 

でも、あの爺さまたち、やっぱり長生きしそうだ。

ガッチリしたカラダで、本棚を占拠。

もう少しお品が良ければ、良いんだけどね。

そんなの、知ったことか、という感じがまた強い。

 

やっぱり昭和生まれは強いわ。

特に前半。

戦争に揉まれてるだけあって、生命力が半端ない。

いざとなってもどうやっても生き延びてやる、というあの苛烈なまでの意思。

イマドキの若い人には異次元の強さなんだろうな。

 

今日も読んで下さり、ありがとうございます。