絵本展がはじまりました……といっても、今日はじまって、明日終わりの2日間だけの展覧会なんですが、内容は充実しています。絵本に興味のある方はけっこう満足できるのでは……そのまま印刷・出版してもいいようなハイレベルの作品がたくさん。ホント、2日間で終わるのはもったいない……
私は、このブログに掲載してきた御茶目新聞をまとめて出品しました。えっ、あれ、絵本なの……という方もおられるかもしれませんが、絵本も御茶目になるといいなあ……と。あんまりカンケイないかもしれませんが、とにかく読んで、楽しんでもらえればいいのではないかと思っております。
今回、御茶目新聞を架けておくための架台を新たにつくりました。昔、ホテルのロビーなんかに置いてあったちょっと黒めの木製のあのレトロな雰囲気を再現できたら……と。私は、映画『ベニスに死す』でアシェンバッハ教授が、タジオを「目撃」する直前の、あのロビーのシーンを思い出します。
こういう架台って、なんかいいですよね。人は、安楽椅子に腰掛けて、ちょっとものうげに、傍らの新聞架台に手を伸ばす……その動作そのものに意味がある感じで、新聞の内容はあんまりカンケイない。日常を離れたリゾートの地では、すべて動作の方に意味があって、そこで人の思いは尽くされます。
なので、新聞には、動作以上に意味のあるニュースなんかが載っていてはいけません。あたりさわりのない、どっちにころんでもいいようなテキトーな見出しとテキトーな記事。それで充分。ものうげなリゾートの雰囲気は、新聞からちょっと目を離したスキに破られる……それも、ン?というような感じで……
最初はン?なんですね。でも、それが、少しずつ意味を持ちはじめて、やがて、主人公の深刻な必然の運命へと……だから、ものうげに架台から新聞をとりあげる動作が、彼の、日常の平凡な連鎖の、実は最後の姿だったのです……これ、よもや、思いもしない……突然地震にみまわれたようなモンだ……
ということで、昔のホテルのロビーにあったみたいな黒光りする新聞架台は、実は「リゾート的日常」の象徴だったのでした。火宅の宿……といいますが、人は、黒光りする架台からものうげに新聞をとりはずしてひきよせる……みたいなことをしているかぎりは、一応無事でいられるのだけれど……
この作品は、そんな思いでつくりました。……絵本展、明日の4時半までなんですが、お近くの方は、よろしければのぞいてみてください。「日常」が変わる入口になってるかもしれません……
