オソロシイ……外国人締出し……で、あの不気味な無観客試合……ホントにオソロシイことだと思います。だけど、カンタンには反省してほしくない(というか、100%しないだろうけど)……悪は、どこまでも、徹底的に悪であってほしい。懐柔されない悪……それは、ある意味、正直だと思います。

太平洋戦争のときもさんざんやりました。大東亜共栄圏って……ホントにそれが正しいと思ってるのなら、敗戦もゲンバクもなんのその、今でも言い続けるがいい……それができないんだったら、あのときも言わなきゃいい。そう、思います。コロコロ変節するのがいちばん良くない。しかも状況しだいで……

この問題、結局、「カルマの根」あるいは「根のカルマ」にかかわると思う。「カルマ」というと宗教的ですが、他にいい言い方がみつかりません。まあ、彼ら自身、「聖地」という言葉を使ってるんだから、もともとこの事件は宗教的……宗教のオソロシさと根本的に通じるところがある。一方向のみを見て、ダーッといく……

エルサレム奪還の十字軍みたいですね。自分たちとちょっとでも違うものは根絶せよ……ということで、ナチス的でもある。これ、宗教……というか、人の心の暗黒面だ……要するに、業、宿業……なにがどーやってもそーなってしまう……本人にも、もうどうしようもないゴリゴリに固着した傾向性……これは、どっからくるんだろう。

昔、朝日新聞を襲撃して、記者を射殺した右翼さんがいました。「話せばわかる」。この言葉の空しいこと……彼にとっては「銃弾」が唯一の「モノを言う言葉」だった。社説なんかで、最後に「ともかくみなでよく議論することが大切」……そんな書き方が多いけど、これってナンセンス。そらぞらしい……ウソくさい……

「普遍」は、なにも言葉や論理の側にだけあるのではないと思います。今回の「外国人お断り」事件でも、やった人は、なに言われても絶対に納得せんでしょう。というのは、彼の心の奥底に、絶対に解けない「カルマの根」があるから。彼にとっては、これが「絶対普遍」であって、もう論理とかのモンダイじゃない。

そういうものを「論理」で押しこめることはできない。いったんは押しこめられたように見えても、「根」が残っているかぎり、必ず別のところで噴出する……今の日本みたいに、国家のリーダーみずからがそういうものの噴出を許す(というかあおる)ようなムードを醸成している社会にあっては、カンタンに噴き出す。

国際的に「レイシズムはノー」。これは、一種の「普遍」だと思います。人類が、何世紀もの争いを経て掴むに至った「血みどろの普遍」。しかし、一方、「外国人お断り」の横断幕を掲げ、記者を射殺し、『アンネの日記』を破壊し、ヘイトスピーチをくりかえす……これは「普遍」じゃないのか……

難しいところですが、一方を「普遍」であり、他方を「矯正さるべき誤った傾向性」であるとしてしまいますと、それはなんの解決にもならない。カルマの根……こういう、オソロシイ凶暴性を噴出させる宿痾の、ガチガチに凝った真っ黒なカタマリ……そういうモノたちの「普遍」つまり「根っこ」はどこにあるのか……

それは、オソロシイことに、私たち一人一人の心の中にある……これはもう、否定のしようのない事実だ……そういう「曲(まが)事」を、自分は「普遍」の側に立って糾弾する……その、私は客観的に見ますよ……といういかにも超越者然とした態度……それが、銃弾を呼び、破壊と殺戮につながる……そうかもしれない……

なぜ、禍々しいものが、この世に存在できるのか……彼らは、それらが育つにふさわしい土壌(たとえば今の日本)を得ると、あれよあれよという間に急速にでかくなる……私は、戦前の日本を知りませんが、大東亜共栄圏みたいな風変わりな「思想」が、少なくとも「普遍」として歓迎されていた……その空気……

人の心は、今は「外国人お断り」を「普遍違反ですね」として糾弾するけれども、もう少し空気が変わればあっという間にそっちを「普遍」としておしいただき、ソレに反意をもとうものなら、「普遍の意志」として、反対する人々を抹殺する……コロッとそっちに変わる。「カルマの根」は再生して、自らを開花させる……

こういう「根」を断つことが、絶対に必要だと思います。で、それは、今の日本人が唱える「人種差別?よくないねえ」みたいな、あえて言うなら内容のない空疎な言葉ではできない。根に、届かない……レイシズムがダメなことは、みんなアタマではわかっていても、ちょっと心の奥に入られると……コワいことですが。

ホンモノの「フヘンの人」は違うかもしれません。しかし……私もそうですが、大多数の「フツーの人」は、そこまでいってない。それは大事だと思っていても、徹底できないので、社会の空気が変わればコロッと参ってしまう……今の日本、国のリーダー自身が盛んにあおっていることもあって、まさにその変わり目にいると思います。

「無観客試合」の決定は、やっぱり大きかった。けれど、それで「根」が断てたわけではない。横断幕を掲げた方々は、絶対納得していない(し、されてたまるか)。潜伏して、またチャンスを待つ……タチの悪いカルマの根ですが、もともとカルマの根というのはそこまでタチの悪いもの……ヤバいモンが、押えられてブスブスいってる……

これから先、日本は、どうなるんだろうか……根を断つどころか、それをあおって火事をどんどん大きくしていくような政治……結局、根が芽になり、伸びて育って大樹になって「悪の華」が満天に開き、「毒の実」がざくざく成る……あるいは、そうなる前に、別の「宿業」とぶつかって滅ぼされるのか……

出るものは全部出る。徹底的に……それが、もしかしたら唯一の「正解」かもしれません。オソロシイことですが……