ソチ五輪にはまったく興味がなかったのだけれど、始まってみると毎日の報道でいろいろわかってきて、やっぱりおもしろいなあ……と。スポーツで選手が純粋にがんばっても、ABくんがすぐ「政治利用」するので、そのあたりもヤだなあ……と思う原因になってたんですが、今回、浅田真央さんの「ノーメダル」で、いろいろ考えさせられた。

ショート16位! この結果に驚かんかった人はいないと思う。スゴイ成績です。ある意味……本人は「身体が動かなかった」とおっしゃってたが、あくる日のフリーではいきなり自己ベストで10人抜きの6位。こんなスケート選手、いなかったんじゃないかなあ……びっくりしましたが、よくよく考えてみると……

人間の身体って、正直だなあと思います。「金」の重圧。もし、ショートで「メダル圏内」に入ってしまってたら、フリーでもそれは続いた……どころか、さらにさらに強力なものになったに違いない。「自分の滑りがしたい」というのが彼女の本当の気持ちだったとしたら、やっぱりそれは、大きな阻害要因になってかぶさってきたに違いない。

しかし、ショート16位。これはもう、どうがんばっても「金」どころか「銅」も無理。ここで、「開放」が行われました……彼女の意識はどうだったかは知りませんが……自分にとっておそらくラストの五輪で、納得のいく演技をしたい。そのためには、身体を「自由に」する必要がある……「身体の反乱」。納得のいく滑りを実現するための、最後の手段……

おそらく意識の方も、やっぱり身体に正直になる方を選んだんだと思います。それで、あの結果が出た……ホントにスゴイと思います。「自分の納得のいく滑り」のために「メダル」は犠牲にする。「メダルは持って帰れないが、恩返しはできたと思う」。彼女ははっきり言いました。みごと! メダルよりもだいじなもの。それは、自分にとってだけではなく、たくさんの人にとってもそうに違いないという確信……

日本中が感動したのは、やっぱりそこだったと思います。私のようなヘソが180°曲がってる人間でも充分……どころか、ちょっとない感動でした。そうか……これからの日本の歩む道って、もしかしたらここにしかないのかも……そこまで思いました。彼女は、「ゆとり教育世代」だと思いますが、いろいろ言われる「ゆとり教育」で、こういう人が育つんであれば、「ゆとり教育」、悪くなかったかも……

今、教育、大幅見直しですね。ABくんのめざす?「強勢日本」……その実は不気味な「虚勢日本」を造ろうとして。そういう「キッチュ・ジャパン」にとっては、彼女の「金」はものすごく欲しかった獲物でしょう。でも、彼女は、それに、結局全身全霊で抵抗したんだと思います。意識としてはどうあれ、結果からみるとそうなってる……

もし、「メダリスト凱旋パレード」が行われても、彼女は乗らない。しかし、みなは、「金」よりはるかに価値がある彼女のフリー演技をちゃんと知ってる。彼女は、自分の本当に大事なものを、全力でABくんの魔の手から守った……とも言えます。メダルもなにもない以上、ABくんも手の出しようがない(でも、出してくるかも)。

そして、それが、他の多くの人にとっても「メダルより価値がある」ことを、彼女はきちんと知ってました。別に、そのことを声高に主張する……というんじゃなくて、演技で見せた。そして、そのあとで、言葉できちんと語った。控えめな語り口でしたが、そこには、自分のなしたことの本質をちゃんと確信している人だけの自信があふれていた。むなしい、上滑りの言葉が横行する中で、しっかり大地に根を張った真の言葉……

私は、ここに、これからの「日本の道」を見たような気がします。派手に、結果だけを求めて、ひとときの空しい幸福に酔う……そうではなく……別に、メダルなんかなくても、本当の場所に、摩滅も消耗もしない「価値」を地道に積み上げていけばいいじゃん。浅田真央さんの4年間の地道な努力は、だれの目にもはっきり見えるあの演技として実を結んだ……

これからの日本。やっぱり、ちゃんと考える必要があるなあ……笛と太鼓でバカさわぎしてみんなで崖っぷちに行進するんじゃなくて、あおられてすぐ過激に反応して偉ぶったり虚勢をはるんじゃなくて……世界の中で、どういうふうにあるべきなんだろう……と。「本当の自信」なんでしょうか……彼女は、きちんとそれを持っていた。あの場で滑っていただれよりも、おそらくそれはぬきんでていた。

すごいなあと思います……おそらく今は、人類史全体の大きな価値観の転換のとき。もうこのままで、世界人類何十億がちゃんとやっていけるワケはない……それは、だれが考えてもあきらか。そういう時代に、日本、そして、日本人……この地に生まれたわれわれが、どういうふうにしていったらいいんだろう……いろいろ、考えさせられました。ありがとう。