いやぁ・・終わってしまいましたね・・。
早くも2期待望の声も上がってるようですね(監督発信で?w)
何なら24話までやってくれても良かったのではと思うけど、大人の事情とかかな?ままならないね。

アニメも見終わり、そして勢いで買い込んだ原作も読み終わったところで、アニメ版について振り返ってみたい。

良かったところ
・映像の美しさが圧倒的、龍と雲と光の表現が際立っていた。
・乗員のキャラを一通り把握できるように巧妙に場面・セリフが設定されていた。
・音

悪かったところ
・無謀


順に書いていきますね。


・映像
一番好きなのは、ヴァナベルが丸い龍にとどめ刺す時にスローになるところ。
次は嵐を抜けた後、それと龍の巣の気味悪さ。
俯瞰で見た町とかも良かったけど、スゴイなって感じたのはやっぱり1話冒頭の龍捕り。
原作で言うと2ページぐらいなんだけど、それに90秒ぐらいかけてて、ああ、これからすごいのが始まるんだって分かったし、漫画原作の映像化はこれだよ!って思わせてくれた。

・場面・セリフ
漫画原作の映像化で、コマ間をどう映像にするか、が勘所だと思う。
コマ間ってのは今思いついた言葉で、小説で言うなら行間。
そこには明らかな形で描写されていないけれど、読者の中では情景化されているであろうところ。
そこを見せるのか、それともあえて見せないのか。
見せることで説明臭くなることもあるだろうし、見せないことで伝わらないこともあるだろうし。

空ドラでは、割と細やかにコマ間を拾っていたように感じた。
桑原太矩さんの「群像劇を描きたかった」という想いを監督が受け取って、12話(コミックで3冊分)という限られたスペースで、それぞれのキャラが活きるようにしたのだと思う。

元はなかった会話や場面、そこにはいなかったキャラがいたり、原作とは違うキャラのセリフになっていたりということが起こっていた。
機関室やブリッジのシーンもちょいちょい入ってたので、もしかしたら原作読んだだけよりもアニメの方がメインのキャラが分かるぐらい。

・音
岩浪美和さんていうプロ根性の化身みたいな人が音響監督やってると最近知った。

なんかあまりにも自然にスッと見れてたので気づかなかったんだけど、改めて見直したら、音の抑揚が洗練されているというか、音が喧嘩してないからいろんな音が違和感なく聞こえてくる。
アクションものの洋画とか、盛り上げたいのは分かるけどマジうるさい、ってことたまにあるけど、ちゃんとコントロールする人がいてこその「音」なんだなと思った。
もちろん、OP,ED含め曲のどれもがカッコよくてほんのすこし郷愁を感じるのも良い。


総評として、ものすごく良かったし是非とも2期,3期と続いて欲しいし、より多くの人にこの世界観に触れてほしいと思っているのだけれど、どうしても苦言を呈したいところがある。
ひとことで言うなら「無謀」なところ。

何をえらそうに、って感じなんだけどモヤモヤしてね、どうしても書きたい。

3つあって、第一に命綱。
龍に取り付いて止めを刺す時、原作では「必ず」命綱をアンカーにつけているのにも関わらず、ミカもヴァナベルも、アニメでは全部なくなってる。

[アニメ 空挺ドラゴンズ1期1話冒頭1分あたり。渡る時に使ったフックがどこかへ]

 

[コミック版「空挺ドラゴンズ」1巻4ページ目あたり。ここに限らずどのシーンも命綱が必ず付いている]


ミカが命綱なしで突っ込むのはクジョーと捕ってた時であって、今は後先考えないことはあっても、命綱を外すなんて馬鹿なことはしないし、ヴァナベルはもっと理性的なはず。

懸念するのは3期とかでノラにぶん殴られる時に、「いや、クジョーが」って言い訳しても、「お前いつも取り付いたら外しちゃってんじゃん!」ってなっちゃわないか・・って。

次に12話のタキタが船に戻るシーン。
飛行船なんだし、風で定点滞空できないとは言ってもあんな速度出す必要ない。
ラピュタのオーニソプターですり抜けざまにかっさらえじゃないんだから。
それとミカの飛ぶタイミング、右水平尾翼との距離。
原作では、ミカは最初尾翼の上で掴まえるつもりだったけど、おそらくタキタの足のケガ等の不測の要因で届かなそうだからミカも飛んだ、そういうシーンだったと思ってる。
それが最初から飛んでて、タイミング合ってなかったら落ちてるしもうただのアクション系アニメになってた。嫌な予感がした。

そして最後の超巨大龍。
クォーンでも言ってた「仮に空で遭遇しても手を出せずに見逃す」のよりさらにデカいのに
「いつの間にか」とりついて(もちろん命綱なし)、挙句落下してニコの撃ったアンカー(あの捕龍銃で?)に救われるってもう滅茶苦茶。
いつの間にか、さっき捕って係留してた龍もなくなってるし。
最後で見せ場だからってテンション上がってたのかもしれないけど、それまでの丁寧な作品作りがちょっと破綻してる気がして残念だった。


最後に、見ながら勝手にナウシカ・ラピュタ感を感じて(ややこじつけ感あり)、ひとりニヤニヤしてたポイントを挙げておこう。

・3話測量のシーン
ナウシカ3巻でコルベットに乗り込んだナウシカが測量の腕が良いと言われるところ。

・3話嵐
見たみんなが思ったはずだ、あの中にラピュタがあると、父さんは帰ってきたよ、と。

・3話「風に船を立てろ」
ドーラ婆さん!

・3話「(雲の中は)気流の渦だ」
映画ナウシカ、ベジテのブリックが雲に逃げた時のコルベット銃座から

・6話船の係留塔への接続
ラピュタのゴリアテ登場

・12話この子(龍)を群に返す!
ナウシカ、王蟲の子を暴走してる群に返すとこ。
さらに強引にこじつけるならこの龍の謎の玉→ナウシカ6巻の漿。


原作めちゃ面白いし、最後まで見届けたい。

アニメも最後まで続けられるといいなぁ・・・吉平監督!応援してます。