正直なところ、このブログで雨宮天関連以外のことを書く予定はありませんでしたが、
今日の朗読劇がとても印象的だったので書くことにしました。
興福寺中金堂落慶記念特別公演
第38回世界遺産劇場/フェスティバル奈良
朗読劇『こゝろ』
参加してきました。
野外ということもあって、天気や気温、あと騒音も気になるところでしたが
天気も良く、気温はやや寒だったけど、夏川さんの警告で「かさばる」を選択した賢明なオタクにはそれほど苦になるほどの寒さではなかったのではないでしょうか。僕はカイロ持って行ってましたけどね。
騒音については、結構遠くまで聞こえるようでしたが、真面目なイベントですし、ちょいちょいお祭りとかで騒がしい場所なので問題ないでしょう。
昼頃に現地入りして、学生時代の通学路を歩いたり、思い出に浸りつつ興福寺に向かうと、リハーサル中でした。
リハーサルが聞けるというのも、野外ならではのものですね。
楽しみが減るのでと意識して聞かないようにしてましたが、垂れ幕の隙間から夏川さんが見えた時は興奮していました。
怪しいヤツと思われないよう平静を装っていましたが。
パンフと台本の販売が始まる16:30になると、さすがに人が集まってきて、女子率の高さと、雰囲気の違いが面白いなぁと。
斉藤壮馬くんのオタクでこじらせてる感じの人以外はだいたい普通の女子で、「それと分かる何か」を身につけたりというのが少なそうでした。
対してトラセオタクは、417の日Tシャツの猛者をはじめ、何かのツアーTとか「分かる人には分かる」出で立ちでしたね。
こういう違いとかも、トラセ現場では見れないので面白かった。
パンフは、これで1500円かよっていう薄さで、しかも夏川さんの写真、何倍に拡大したのよっていう荒さで、ちょっとこれは可哀想でしょなんとかしなさいよ主催者と思いました。
台本は、椅子や顔の向きまで書かれていて、これがあればしばらくは脳内再生余裕のお値打ち物ですね。
是非とも原作を読んでまた見返したいです。
朗読劇の夏川さんについてですが
とても「奥さん」で「お嬢さん」でした。
この書き方で伝わるかどうか微妙ですが・・。
雨宮さんが「このすば」の朗読をしたのを聞いた時思ったのは、老若男女問わず適応性の高い・広い声だなということなのですが、この「奥さん」「お嬢さん」は出せないなと。麻倉さんや、他のベテラン声優さんでも、ちょっと違うな、って思うような気がする。
つまり近代純文学と夏川さんの相性ものすごく良いんじゃないかと。
偉そうなことを言えるほど何かを知ってるわけではないけれど、夏川さんの声の質や微妙なニュアンスがそう思わせるのかなという気がします。
内容について
明治の人の「道」とか「殉ずる」という精神や死生観は、現代理解のできないものだけれど、そういうものがあるのだとすれば登場人物達の葛藤というのは、そうなっちゃうものなのかもね・・・というのはわからなくない、かもしれない。
なんであの時代の作家は(に限らず)みんな死にたがるのか。まぁ、それは置いておこう。
お嬢さんこと(先生の)奥さん、その言動の裏を読むと、なかなか恐ろしいものを感じずにはいられないのだけど、どう解釈したら良いのだろう。
先生やKの抱えた闇とはまた違う何かをそこには感じた。
パンフに、夏目漱石が
「小学六年生が学校でこんなもの読んでるんですか、何のためにもならないからやめときなさい」って書いたということが紹介されてて、確かにそうだなと。構成・演出の深作さんが、何のためにもならないからこそ今も読まれる名作たりえてるのだと書いていて、なるほどそうだなと。
僕は、本や漫画・映画・アニメ・ゲームなど、基本的に「面白い」にしか価値を見ていないので、こういう文学作品は辛気臭いし面倒臭いから読まなかったのですが、こうして声や演出・演技を通じて伝わる感覚があると、ちょっと読んでみようか、って気になれるなと思った。
夏川さんにもうちょっとこうして欲しいなと思ったのは
もう少し顔を上げて読まれるともっと良いのではないかなというところ。
近くでしっかり見えてた方は、いつもの夏川さんらしさを堪能できたようですが、モニターに映されるのが割と台本の方に向いてることが多かった気がするので、遠い席の僕は分からなかったんですよね。
でも、一番の肝心なセリフ
「ねぇ、あなた。男の方の心と、女の心とは・・・・」のくだりは、本当にとても素晴らしかった。
朗読劇というものを初めて鑑賞してみて
朗読だけではない、演出や、出演者の動きや表情、全てを使って作品を伝えようとしているのが面白いなと思った。
ただ単に映像化するのでは伝わらないものがあるような気がする。
伝わる情報が制限されているからこその良さというか、制限されすぎた文字だけでは伝えきれないものが伝わるというか。
まぁ、そんなこんなで、参加してみてとても良かった。
その日のうちに帰れる範囲で、もっとやって欲しいですね。