あのひとは蜘蛛を潰せない。

彩瀬まるさんの作品の感想を、書く。

吐きたい吐きたい吐きたい吐け吐け吐け

くるしいくるしい、つらい、おもい、くるしいぜんぶ、暗くて重くて醜い

気持ち悪い

すべてを詰め込んで、すべてを救ってくれた作品だったと、思う。


気持ち悪い

なにがと聞かれたら、ぜんぶ この世界のすべてのものが気持ち悪い、だって全員股から出てきたじゃん、汚い汚い汚い、グロいものがきらいな女のくせに、毎月股から血は流せるんだ?(笑)

汚いけど、だから、それでも、ところで、燃やしちゃいけないと思う

母から教わった。みっともないこと、吐く時は水場で、風邪を引いている人や眼帯をしている人には近寄らない、病院に行ったら絶対にソファに手をついて座らないこと、頭が悪いのは価値がないこと、学歴が大事なこと、レースがいっぱいの甘い服は気持ち悪い、アイラインは汚い、カラコンは目に悪い、夜遅くまで遊ばない、私は背が低くてちんちくりんなこと、あなたは顔も可愛くなければ何も出来なくて、本当にダメな子だ、ということ。

母は偉大だ。神だ。そう思っていたのだろうか、そう思っていなかったから、反抗しようと思ったのか、私を育ててくれたから、感謝しようと思ったのか、感謝が義務だったからなのか、「礼儀正しいね」と常々大人に言われてきたから、感謝をしようと思ったのか。


私は、母の事が嫌いだと、言っても良いらしいから言ってみる。


この話は、わたしじゃないとここまで共感できない。わたし、というのは、少しくくりすぎたけれど、もうそれでいい。だから救われた。これはわたしじゃない親に生まれたしあわせなおんなのこには分からない。ああ、可哀想、こんなに魅力的なお話がわからないなんて、可哀想に、可哀想に、かわいそう、うらやましい、うらやましい、うらやましいずるい、ずるいずるい。


ピアノができなくても、Z会の問題集がちっともわからなくても、叩かないでほしかった。一度だけ、怒って泣きながら漢字のプリントをビリビリに破いた時、母は少し驚いた顔をした。わからなかった、母は叩いたり破ったり壊したりくせに、私がそれをしたときは、少し怖がっているように見えた。でも、安心した、これで私が嫌がってることをわかってくれると思った、わかってくれなかった。ビリビリに破かれた漢字のプリントは母の手によって丁寧に修復され、たった一枚のプリントを、裏からたくさんのセロハンテープでつなぎ合わされたプリントを、埋めなくてはならなかった。「破いたらダメだよ」と言われた。わかっている、正しくないことだとわかっているから破ったのだ。


風邪を引いた時、決まって母はため息をついた。ダメだなあ、と言われた。だから、早退が出来ない。今でも、出来ない

怒られたくない。褒められたい。じぶんを、ありのままの、ひとりのじぶんを、認めて欲しい。

承認欲求という一言で表せてしまう言葉がわからない子供は、それが満たせないまま育ってしまうと、こじらせてしまうことの深刻さを、もっと、もっと、どうにか、どうにかって、具体的になにを?簡単だ、しねばいい。しぬ


ごめん、なにも感想じゃなくなってしまった。

感想は、救われた。救われたのだ。

人をすごい、自分をダメ、と線引きするのは簡単で、でもつらくて、でもそのつらさを逃げ場にしてしまう弱さを知った。


私は蜘蛛を潰せる人間だと思う。