9.1

海外用の大きなスーツケース1つにできる限りの荷物を詰め込んで、午前中に飛行機へと乗った。

重量は上限の20キロギリギリ。

これを持って、1人で東京まで行って、鍵をもらって部屋まで辿り着かなければならない。


方向音痴ではないけれど、

人混みも乗り物も酔うので苦手。

今までは空港と病院の往復しかしていない。

乗り換えナビとGoogleマップだけを頼りに行かなければならない。


空港に着いて、重くて大きいスーツケースを受け取り、とりあえず空港のドトールに入った。

一息ついて、京急と山手線を乗り継ぎ、まずは鍵を受け取るために池袋を目指した。


新卒で着いた仕事が新幹線パーサーだったため、その頃は毎日仕事で新大阪-東京を往復していた。

空き時間に渋谷や銀座などには行ったことはあるが、池袋は人生初。

思った以上に広い駅、乗り入れる路線の多さ....

人を避けて進まないといけない人の多さ。

入念に出口や地図を確認していたので、出口はすんなり分かった。

出口を出てマップを開き進む....


目的地から遠ざかっている....

方向音痴ではないが、地図は苦手。

マップの案内機能を諦めて、建物の位置関係を見て進む。


しばらく歩いてレオパレスの看板が見えた時は心底ホッとした。

近くに、テレビで見た、ミルキーウェイというカフェを見つけて嬉しくなった。

今度息子と来よう!


レオパレスは混んでいてしばらく待ち、息子の分の布団のレンタルを追加し、鍵を受け取り、

そのまま板橋に向かうか悩んで、ロッテリアに入った。

これをもう早い夕飯にしてしまおうと。


この判断が失敗だった。


最寄駅に着いた頃、天候は怪しかった。

けれど、タクシーは酔うし、マップでは徒歩10分程。

もう一度場所を確認してスーツケースを押して歩き始めた。

全然平坦ではなくて坂を下り、半分ほど来た頃雨が降り始めた。

再度地図を見て、早足で今度は坂を登る。

記憶ではもう少し、というところでゲリラ豪雨。


スーツケースの中に折りたたみはあるけど、

雨を凌ぐ場所もなく濡れたまま進む。


この辺のはず、というところに来てもみつけられず、そのまま進んで300メートルほど先のスーパーにとりあえず入った。

全身ずぶ濡れで傘も持っていない、大きなスーツケースを持ったおばさん....なんだこれ。


そこで再度地図を開く。

よく見ると、この辺、と思ったところであっていた...道沿いではなく少し奥まったところ。

行き止まりだと思ってみなかった.....嗚呼....


スーパーで待ってはみたものの、ゲリラ豪雨は変わらない。

すでにずぶ濡れなので諦めて来た道を戻った。

やっとの思いで辿り着いたものの、このまま入ることはできないくらい濡れていて、真っ暗な玄関でスーツケースからなんとかタオルを出し、全部脱いでそのあとやっとブレーカーを上げた。

そのままシャワーに直行し、出て来て今度は着替えを出す。

幸いビニールに入れていたので無事だった。


そのあと濡れた廊下を拭いて、

スーツケースとカバンをあけてびっくり。

鞄の中の財布の中まで濡れていた....



息子のオンライン授業用のタブレットはビニールに入れていたので無事....よかった。



夜には雨も止み、

結局、飲み物などを買いに出ることなり、

結局出るならまっすぐ来ればよかったと後悔した。



東京生活1日目、散々な滑り出しになった。