5.7

朝9時、

主治医が今からJ医科大と連絡を取る、とのこと。

まだ何も決まらない中とりあえず荷物を片付けていた。


そんな中次から次へとお世話になったリハビリ師さんや、看護師さんが病室にきてくれる。


今日転院するって?


と言われて、

え、今日って言ってました?

まだなにも言われてなくて。

と答える私に、


あれ?今日転院って朝の申し送りで聞いたけど....



ん?

最後の最後までどうなってるんだ?と思っていたら、副主任も病室に来てくれたので、


今日転院決まりました?

先生からはまだ言われてないんですけど....


と聞くと、

今日転院よ!

多分時間の調整がまだだから話してないんだと思うけど決まってから言ってきそうだから今のうちに準備していいよ!


と教えてくれ。

4ヶ月半、2人分の大量の荷物、

大量の食料。



自宅に送るもの、

ここに置いていって食べてもらう物、

J医科大に持っていく物、に仕分け。



そうこうしているうちに、

12時頃転院のためここを出る、と伝えられた。

近くのホテルに待機している旦那に電話して、

その時間までに一階まで来て待って、救急車に一緒に乗ってJ医科大に行くように頼む。

救急車には主治医も同行してくれるとのこと。

私は荷物の片付けと、退院の支払いをしなければ出れない。

昨日のうちに旦那を東京に呼んでいて正解だった。



息子は、ベットのまま救急車まで運ばれる。

意識ははっきりしないものの一応みなさんと会話をして、

最後に、お世話になったHさんから借りていたボールペンをお守りがわりに欲しいと言った。



聞くと、いいですよ、と言ってくださり、

息子はそのボールペンを握りしめたまま病室を出て、エレベーターで一階へ向かった。

一緒に降りてくれる副主任に、スーツケース一つ、紙袋一つを渡し、旦那に渡してもらうようにした。

私はそのまま病室に戻り、残りの荷物を詰め込む。

スーツケースは後一つ。

荷物はそれどころではない量....


荷物を整理して、退院手続きを待つ間にシャワーを浴びた。

3日間、シャワーも浴びれずにいた。

転院して、またシャワーどころではないかもしれない。


パパがついてくれてるんだから、

ママはちょっとゆっくりしていって、と副主任が言ってくれた。


もう出ていくのに、

それも急に、

お世話になったみなさんを裏切るような形で...


シャワーを終え、荷物の手配も終わったが連絡はない。


もしかして?と思い、

もしかしてもう退院手続きできてます?と聞くと、

ママが会計に行けばもう大丈夫よ。と言われた。


あぁ、教えてくれるシステムじゃなかったのか。

慌てて特大の20キロは余裕で超えてるであろうスーツケースを押し、入りきらない荷物を紙袋に入れて

カバンを持って...


お世話になりました、と頭を下げてエレベーターへ向かった。

最後まで副主任や、他の人たちが声をかけてくれた。


頑張ってね、


と言われた。



会計をし、今回はタクシーを呼び、

重くて持ち上げられないスーツケースを運転手と2人かがりでトランクへ押し込んだ。

J医科大へお願いします、というと、少し不思議そうな顔をされた。


聞かれてもいないが、

子供が先に救急車で行ってるので....

とだけ言って、着くのを待った。


30分ほどで着くと思っていたが、

道が混んでいてなかなかつかない。

旦那から、まだ?と連絡が入る。


やっと、着いて路肩に停めて降ろしてもらい、

スーツケースを受け取る。

おつりは大丈夫です!と急いで救急外来にむかった。


着くと旦那だけがスーツケースとともに座っていた。

息子は検査にまわっているらしい。

私はそのまま問診とPCR検査を受けた。


旦那の元へ戻ると、

A先生と主治医が話をしていたこと、

このまま検査後手術に入るといわれたこと、を告げられた。

とりあえず転院だけで手術は週明けだと思っていたので驚いた。

もう、手術の準備までして受け入れてくれたのだ。


しばらくすると、

若そうなイケメンの先生から、

手術の説明をしますね、と声をかけられ、

別室へ旦那と向かった。



座ると、


脳外科のCです。


と告げられた。



!!

メールに丁寧に返信をくれたドクターだった。

勝手にもっとおじさんを想像していて、

驚いて、声も出なかった。

この先生が.....


この先生へメールをしたこと、

返信してくれたこと、

全てのタイミングがギリギリで息子を救うことになった。

もう1人の、命の恩人、のドクター。

そして、今の主治医。

息子が、大好きな先生。


私ももちろん大好きで、

今ももちろん、

C先生とA先生には絶対的な信頼をしている。


今まで出会った全てのドクターの中で

ダントツで信頼できる。

この2人の存在のおかげで今の息子と私がある。