父が他界したのはもう8年も前のこと
 
言葉数が少なく  人付き合いでは無器用な父
 
でも  限りなくやさしくあたたかい人でした
 
 
大学で教鞭をとっていたころ
学生たちからは仙人と呼ばれていたそうです
 
 
茶の間ではいつも黙々と小難しい本を読んでいた父
 
 
幼馴染みが来ると
 
○○ちゃんはいつもポプラの木の下で本を破って食べとった
 
まるまると冗談を言って笑われてました
 
 
研究に一生を捧げた一方で
家族を愛し  植物を愛し  動物を愛するあたたかい心があふれた人でした
 
 
 
私が拾ってきた犬たちの世話を一生懸命してくれた父
何匹拾ってきても叱られなかった
 
4匹の手綱を巧みに操りながらトナカイを引くサンタさながらに  シャンシャンと野山を散歩させている楽しい姿が今でもよみがえってきます
 
 
 
言葉は少なかったけれど  そのひとことひとことがあたたかく心に響きました
 
 
 
私が結婚してしばらくは  父から唐突に電話がかかることが何度もありました
 
 
また間が悪いときに集中してかかってくる 笑
 
子供寝かしてるときとかまる 揚げ物してるときとかまる 出掛ける直前とかまる
 
その間の悪さはもうね  神がかってました 笑
 
 
話すのが苦手な父は  
 
元気か?
 
まるまると聞いたあとはなかなか言葉が出てこず受話器の向こうで焦っている様子が伝わってきました
 
でも  かけずにはいられない。。。
そんな父の気持ちも今ならよくわかったのに
 
 
その頃は  
 
もう〰忙しいのにぃ〰
 
まるまると心の中で呟きながら
 
うん  元気
 
まるまると手短かに答えたりしていました
 
 
そんな受け答えに  父はきっととても寂しかっただろうなって  今さらながらに悔やまれます
 
 
どんなふうに元気なのか
子供たちの様子はどうなのか
主人とは仲良くしてるのか
 
 
きっと聞きたいことはいっぱいあったはずなのに
 
 
現在の私はまるまるまる
 
娘が遠くに巣立ち  安否がいつも気になります
 
元気にしてる?
 
まるまるとラインを入れますが長いメールを送っても  ひとこと
 
元気
 
としか返ってこない
 
 
どんなふうに元気なの?
今日はどんなことがあったの?
仕事の方はうまくいってる?
 
 
そんなたくさんの言葉を呑み込んで
 
そか、よかった
 
とだけ答えます
 
 
そんな時  あの頃の自分が今の娘と重なります
 
 
親のこんな想いなどわかるはずもないね
 
 
 
そして  今の自分が電話の父とも重なります
 
 
ああ父もこんな気持ちだったのだなぁ
 
 
 
 
 
あの木訥とした父の  不器用でまっすぐな想いに  今更ながらに気づき  涙があふれました
 
 
ありがとう  ごめんね
 
 
心のなかで繰り返しては  父の想いに深く感謝しました
 
もう届かないまるまるまる  でも
 
あははぁ~  今ごろ気づいたか?
 
まるまる写真立ての中でやさしく笑う父が  そう言っているような気がしました
 
 
無償の愛  あふれるやさしさまるまるまる
私は幸せだったんだなぁ
 
 
すべてが大切な思い出
 
 
父が旅立った日には見れなかった夕日を
父に想いを馳せてひとり眺めました
 
 
 
 
 
西空上空には雪雲のカーテン
 
 
暮れなずむにつれて雪のカーテンが低く垂れこめてきました
 
 
好奇心が強くいつも純粋だった父の魂

きっと  西空の雪雲のカーテンを見に行く  と言って  あの雲の下まで羽ばたいて行ってるんじゃないかな  
 
 
 
ずいぶん長い時間眺めていました
 
父を想ってほっこりあたたかくなった心
芯まで冷え切った身体
 
 
 
そろそろ帰らなきゃな
そう思ったとき空からチラチラ雪が舞い降りてきました
 


夕空を見ながら父とたくさん話をしました


父の命日によせてひんやり
 
 
長いブログになりました
最後まで読んでいただきありがとうございました
 
 
 
今日もみなさんのところにいいことたくさんありますように
 
 
それでは またねハートひんやり