春になると決まって
謎の鼻風邪を引くようになって早2年
ようやく花粉症であると
認めるに至ったそらまめ氏



3月に入ってからというもの
2時間に1回は
鼻が詰まり叩き起される毎日を送っていた




その日は風の強い朝だった
風が強いもんだから
尚更花粉に悩まされていた
ポケットティッシュを買うのを
忘れていたもんだから
電車に乗っている間口をぽかんと開けて
口呼吸をしていたせいで
間抜けな阿呆だと思われたに違いない、悔しい。



そんなもんだから
とにかく息が苦しくて
楽にしてくれ という思いで買った
アレグラというアレルギー薬も
全くもって効かなかった



嗚呼、もう限界だ
そう思うと同時に私の足は
最寄りの薬局へと駆け出していた

鼻呼吸が出来ない上に急いだもんだから
薬局に着く頃には息も絶え絶え

……苦しい。


近くにいた店員さんに声をかける

『花粉症の薬くださいぃぃぃぃいい!!』

勢い余って半ば叫んでしまった

店員さんが微笑んで

『アレグラがおすすめです』と言う

それが効かないからここに居るんだ!
と思いつつもう一度尋ねる

『アレグラは効きませんでした
この中で1番強いやつをください』

お金ならいくらでも払いますから

と心の中で付け加えた

店員さんは少し悩んで
薬剤師さんを呼んで話し込み出した



早く楽にしてくれ……


そんな思いで待っていたら
近くにいた店員さんが
ポケットティッシュを持ってきてくれた

ようやく鼻をかんだ
少し楽になった



最初に声をかけた店員さんと薬剤師さんは
未だあちらで話している
あれはどうだこれはどうだと
やはり私の鼻のことを考えてくれている
なんて優しい世界なんだ



『待たせてごめんね!これはどうだろう!』

薬剤師さんがおすすめしてくれた薬にした


これで楽になる……かもしれない
そう思うだけで気持ちってもんは
楽になるもんで
私はなんだか安心していい気持ちになっていた

贅沢保湿 と書いてある
ちょっとお高めのティッシュも買った

レジに行くと一連の流れを見ていた店員さんが
『お大事にね』と声をかけてくれた


なんて良い世界なんだ

ほんの少し前まで

『花粉症なんてものを生み出したこんなクソ世界
滅んでしまえばいい』なんて
荒んだ考えを持っていた私の心に
この優しさが染み渡る


ありがとう、店員さん達

ありがとう、薬剤師さん

今も貴方から貰ったポケットティッシュが
私の御守りです