「インナーチャイルド」ってよく耳にします。
ことに、スピリチュアルが取り上げられるようになってから
聞く機会が多くなったように思いますけど、これって、心理学から派生した言葉なんですよね。
心理学を専攻していて、そういう興味から買った事もあるんですが
なにより、自分の幼少期や親との関係に悩んでいたこともあって
この本を買いました。
- インナーチャイルド―本当のあなたを取り戻す方法/ジョン ブラッドショー
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
これは改訂版(2001年)ですけど、わたしが買ったのは1995年なので
もう15年前。初版は93年なので、17年前の本です。
今でこそ、それは沢山の「インナーチャイルド」関連本が出ていますが
たぶん、この本が草分け的な立ち位置にあるんじゃないかと思います。
著者のブラッドショーさんが、さまざまな心理療法のエキスを汲み取り
自分のものにして、誰にでも理解出来る精神分析理論を取り入れ、
独自が開発した瞑想法を用いて、個人がワークできるようになっている本です。
ブラッドショーさん自身も幼少期辛い目に遭い、そのお陰と思われる原因で苦しんでいた。
そういう体験記も随所に盛り込まれているので、同じような辛い体験をした人には共感を持って読み進められるでしょう。
心理療法の本ですが、専門的でありつつも、解説が沢山あるし、分かり易く訳されていると思います。
瞑想を用いる、っていうところから
スピリチュアルなセッションとの融合も起こっていったんでしょうか?
何しろ、諸外国の方がスピリチュアル的なものの先進国でしょうしね。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
さて、インナーチャイルドについて。
本によると、「インナーチャイルド」とは、
心理学理論の「交流分析」というものから導かれたものなんだそうです。
これは、ものすごくわかりやすくぶっちゃけてしまうと、「人の交流(コミュニケーション)を分析したもの」なんですね。
TA理論とか言われたりもします。
心理テストとかで雑誌にたまに載ったりすることも。
詳しいことが知りたい方は、wikiを参考になさって下さいね。
交流分析を提唱したエリック・バーンさんという方が、人間の精神を見た時に、3つの状態があるんじゃないか?と思ったわけですね。
それらは、幼少期の経験によって形作られたもので、3パターンある。
1つ目は、親:P(Parent)
2つ目は、大人:A(Adult)
3つ目は、子どもC(Child)
誰の心にもこの3つの状態がある、と。
Pの特徴は、幼少期より、無意識のうちに両親(または親の代わりとなるもの)の
行動パターンを見て自分の中に取り込んで、真似して行動したり、感じたり、考えたりする状態。
Aの特徴は、、「今-ここ」でどのようなことが起きているのかについて、冷静に考え、感じ、行動する状態。
長年生きてきた大人としての人間の経験、知識が活かされ、人を行動させる。
いわゆる大人としての立ち居振る舞い、考え方、といえるでしょう。
Cの特徴は、かつての子供の頃に振舞っていたのと同じように、行動し、感じ、考えるような状態。
人と人との交流を見て行くと、この3パターンのどれかの自我状態で交流していることが見えて来ます。
(厳密にいうともっとパターンはあるんですが、この場では簡潔に。)
<例1>
X:「コピーをしてくれますか?」
(AからAへの交流)
Y:「はい。私はこれからコピーをするところですよ。」
(AからAへの交流)
X:「映画見に行きたい?」
(CからCへの交流)
Y:「行きたい!何見に行くの?」
(CからCへの交流)
X:「部屋は掃除したのかい?」
(PからCへの交流)
Y:「分かってるよ。そのうちやるから!」
(CからPへの交流)
コミュニケーションが失敗してしまうのは、相手の自我状態と違う自我状態へコンタクトを取ろうとすることで起こる、というわけなんですね。
<例2>
X:「コピーをしてくれますか?」
(AからAへの交流)
Y:「分かってるよ。そのうちやるから!」
(CからPへの交流)
これでは、仕事において、問題を引き起こしそうな交流ですよね。
XはAからAのやり取りのつもりで話し掛けたのに、YはCからPへの交流で返した。
なので、Xは、「P(Parent)からC(Child)への交流」に基づいた返事をするかもしれない。
X:「君!その態度は何だ!ふざけてるとクビにするぞ!」
<例3>
X:「部屋は掃除したのかい?」
(PからCへの交流)
Y:「はい。私は丁度これからやるところですよ」
(AからAへの交流)
これはちょっと複雑な例なんですが。
Xの発言をした人は、何処かで子どもとしての役割を期待している。
Yの子どもの部分に話し掛けたのに、大人の部分で返されてしまって、馬鹿にされたような気分になるかもしれない。
Yは責任感を持って行動し、Yとしての役割(つまりChild)を演じていない対応だから、XはYに不満を持つ可能性がある、とのこと。
人間の心って複雑で、ちょっと勝手かも?
でもこういうこと、親子とか恋人同士の間ではよくあることかもしれません。
なので会話は次のように発展するだろうと。
X:「私は、あなたのそういう態度が信じられないな!」
(PからCへの交流)
Y:「私の言うことを少しは信じてよ!」
(CからPへの交流)
この受け答えは、永遠に続くであろう。
↑ とwikiには書いてありましたけど(´Д`;)
これは、交流が交錯した状態、というそうです。
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と、まぁ、長々書いたんですけどね。
こういうことって、ありますよね?
会社とかで窮地に立った時
明らかに大人から大人への対応が出来ない人。
また、自分自身の身の上を考えてみても。
大人から大人への対応がいいに決まっているって、頭ではわかっているのに
子どもから親に交流するみたいになっちゃったりだとかすることが。
総てについてではないと思います。
多分、自分自身をよ~く観察していったら、パターンが見えてくると思います。
どういうシチュエーションの時、感情が乱れるか?とか、こういうタイプの人にきつく言われると、取り乱してしまうとか。
そのパターンに似た過去に、足枷をはめられて動けなくなっている幼い自分がいるかもしれません。
その場に足止めされて、その危機をどうやって回避したらいいのかわからず、途方に暮れている子どもです。
それを「インナーチャイルド」と呼んでいるようです。
大抵のこういった経験は、その後、似たような経験を何度でもしていって、自然に回避の方法を学んで、子どもが足枷をはめられたままになる、ってことは少ないとは思います。
でも、人によって受ける感覚は違う。
あまりに強烈な体験過ぎると、人は「それを見ない振りをする」んですね。
強烈、というか、その人の器に納まりきらない体験、とも言えるでしょうか?
自分では処理出来ない、
処理出来ないと進めない、
だから見ない振りをしないと、
そこから先、生きて行けないから。
「見ない振り」「無かったこと」なので、記憶が消えたっていうわけじゃない。
意識から無意識っていう引き出しに押しやられただけで、無意識は普段、手に取るように感じられはしないけど
「記憶が消えた」んじゃなくって、「そこにある」んですね。
だから、同じように心を揺るがすようなピンチになったとき、またそれが引き出しから出てきちゃったりすることもある。
本人は自覚が無いんだけど、昔の傷がピンチを訴えて困ったことになったりすることがある。
そこで、「インナーチャイルドを癒す」ってことが必要になってくる訳です。
「癒す」っていうのは「受け入れる、認める」ってこと。
傷ついていたことを思い出して、受け入れて認めること。
スピリチュアル的に見て行くと、こういうインナーチャイルドって、自分の課題だったりする場合が多いです。
そこをクリアしないと、次に楽しんで進んでいけないような。
この人生を生きていく中で、やり忘れた宿題、とでもいうのか。
これが、何時までも見て見ぬ振りをしていると、「傷を癒す→過去を受け入れる、認める」のが難しくなるようです。
ブラッドショーさんが編み出した瞑想法やワークでは、幼児期の自分を想像して、手紙を書いたり対話したりします。
そうして、過去の体験を追体験する。
辛かった事を、大人の自分として、子どもの自分と共に体験する。
出来事を受け止め、子どもの自分を大人の自分が優しく労わる。
そういうようなことをして行きます。
わたしもこういうようなインナーチャイルドの癒しのワークをやりました。
初めてした時は、すごく恥ずかしくて嫌でした。
気休めでしかないんじゃ!?と思っていました。
それでもだんだんやっていくと、頭で考えていただけじゃ、わからなかったことに気付くんですよね。
もう一度、その感情を体験することで、身体ごと思い出していく、というのか。
見なかった振りで見えなくなって、わからなくしたから、普通の状態で考えても直ぐにはわからないんですよね。
催眠療法、というのもありますが、あれは催眠状態にしてもらい、無意識の扉を開きやすくする、ということかもしれません。
押しやった記憶を浮かび上がらせやすくする、というのか。
心理学的な療法として紐解いていくことも一つの方法ですが、リーディングをすることで、ヒントを得ることが出来ます。
自分ではアクセスし辛い、無意識の領域からヒントを得ることができるんです。
そのヒントを伝えさせて頂いて、一緒に紐解いて行く。
スピリチュアル的には、そんな風にアプローチしていけると思います。
自分で色々考えても
原因が見つからなかったり
上手く行かないことがあったとしたら、
内側に押しやられ、
置き去りにされた
傷付いた子ども達のことを
思い出してみてください。
こういったインナーチャイルドの本を見ながら、ご自分で対話にチャレンジしてみてもいいでしょう。
他の精神症状など伴う場合は、専門家に相談したほうがよいと思われます。
そこまでではないにしろ
1人でするのに不安や
勇気がいるようでしたら、
お手伝い差し上げたいと思っています