先週の話になります。5月6日・・・能勢電鉄1700系の中で唯一スカートを装着せず、前照灯をLEDに換装してもなお生きてきた1700系の1752Fが引退しました。3月、7200系×4Rが投入された事に対する廃車でありまた一編成2000系の血を受け継ぐ電車が鉄路を去りました。
 1752Fは阪急2000系 2064Fとして導入され、今年廃車されるまで実に60年間(56年)という長きに渡り活躍をしてきました。能勢電鉄にて譲渡されてからは形式を1700系と改め、他の仲間と共に能勢の里山を走り続け生涯を閉じました。
 晩年は「煙突の街、プペル電車」として車体にノスタルジックな絵本の世界観を描いたラッピングを施し、「プペル電車」の愛称で親しまれました。晩年、プペル電車となってからの姿は全然記録していないのですが、やはりそれは自分が「2000系」という姿を求めていたから・・・でしょうか。らしくない姿は見たくないという率直な気持ちで廃車の日を僕は迎えました。
 能勢電鉄では今後、7200系をもう1編成導入するそうです。その時に1752Fは引退すると僕は思っていました。あまりにも早い別れに、まだ実感が沸かないところです。小さい頃に思い描いていた「能勢電車」。僕の知っている「能勢電車」。そんな電車が1752Fでした。
 廃車(工場までの輸送段階)を先週、平野駅まで見に行きました。昼過ぎに、留置されていたC#1702の解体作業がはじまり、台車やパンタグラフ・・・と様々な部品が剥がされていきました。電車から鉄くずへと変わっていくその姿を、僕はずっと切ない気持ちで見ていました。
 作業員たちに部品を剥がされ、旅立つ準備を着々と進めるC#1702。その横を、営業運転に就く仲間たちが見守りながら平野駅へと入線していきました。
1700系達は、「お疲れ様。お前の分も頑張るからな!能勢は楽しかったかい?」・・・と
5100系達は、「ありがとうございました。先輩の残した歴史は絶対に忘れません!」・・・と
新入りの7200系は、「少しの間でしたが、先輩と入れた時間はとても楽しかったです。ゆっくり休んで下さい。僕たちが、能勢電鉄を支え引っ張っていきます!」・・・と
 C#1702は僚友たちからの感謝を噛み締めているように見えました。台車と車体が分離され、先に平野を旅立った台車。積み重ねた錆や煤で汚れたその台車を見ていると、悲しい気持ちが一気に襲ってきました。「ぼくの能勢電車」が居なくなってしまう寂しさ。居なくなってしまう事実を受け入れたくない抵抗感・・・。様々な感情を一気に感じました。
 なんとか作業が終了し、午前に作業を終えた中間車と川西方の先頭車が並べられました。後は、夜の出棺(業者への輸送)を待つだけです。
 能勢電鉄に世代交代の波が来ている事を思い知らされた今回の出棺作業。旧型ばかりが走っていた能勢電鉄の時代にも終焉が見えつつあります。5100系、7200系を主軸とした新しい能勢電鉄が走り出すその日も、間近に来ているのでしょうか。
 
ありがとう、さようなら・・・
お疲れ様、能勢電鉄1700系 1752F.