秋月は、苦い煙草をふかした 優子は帰ってしまってた 冷えたビールを飲み干しながら 手順を間違えたかなと思う 弾むテニスボールのような娘だった それがスルリと弾けて飛んで行ってしまった もう少し男女の話を教えておけばよかった 籠の中に入れる寸でのところで逃がしてしまった
タクシーに乗って流れる景色を見ていた、優子 どうして自分がここにいるのか頭の中が整理できないでいる でも、間違ってはいないと本能が言っている また泥沼に嵌るところだった、危ない危ない 危機回避だけは覚えているが このまま車に乗ってどこかへ行ってしまいたかった 何とも心もとない
俺が誘ってついてこない女はいなかった・・ 金離れもいい男ぶりもそこらの奴に負けちゃいない それが、あいつ 袖にしやがった 追いかけるのもプライドが許さない 「抱いて」とすり寄る女も一人や二人じゃない 焼が回ったとも思えない、変わった女を見つけたのか? そして人事異動があった
「へぇ~」 出世して帰ってきた秋月に興味はない優子 秋月の秘書からの呼び出しも忘れた振り、2か月が過ぎた 優子は急いでいた、約束の時間に遅れてる。 車の窓が開いた「優子、乗るか?」秋月だった。 運転手に待ち合わせのビルの名を告げ 「部長、有難うございます」丁寧に礼を言う。