年末年始にかけて、

私はとにかく精神的にきつかったという記憶しかないです。

またセンター試験で失敗して信じられないような点数を

取ってしまったらどうしようか…。

私立大学に行くことになったらどうしようか…。

毎日息子の受験のことを考えると吐き気がしていました。

 

二浪すると、浪人中に成人式を迎えることになります。

うちは男の子なので特に気にならなかったのですが、

成人式の日、職場のテレビで成人式のニュースを見て、

『ああ、今日は成人式だったんだ。』と、

ちょっと寂しい気持ちになったことを覚えています。

森の家に引っ越してきたときに私も息子も住民票を移したので、

一人も知り合いがいないこの街から

成人式の案内がきていたので、

それはそれでまったく出席する意味のない成人式だったのですが…。

成人式よりも目の前のセンター試験で、

良い結果を残すことのほうが大切。

息子も私も同じ気持ちでした。

 

この時期、イケメン塾では、

センターに向けて特訓が続いていたようで、

毎回息子は『疲れた~あせる』と言いながら、

夜遅く帰ってきていました。

塾では物理と数学しか教わっていなかったので、

その他の勉強をいったいいつから始めるのだろうと思っていましたが、年末くらいからやっと英語や化学、社会、古文なども

勉強するようになりました。

物理と数学以外のセンター向けの勉強時間、

約一ヶ月だけ?滝汗

三回目とはいえ、それで大丈夫なのか、

ひたすら胃の痛い毎日でした。

 

この頃、というか、いつからだったのか、

もう正確には思い出せないのですが、

息子に大きな変化がありました。

1日に何度も、

『お母さん、ありがとう。』

と、言うのです。

『え?なにが?』って聞くと、

『うん、いろいろ。』と。

 

まだどこの大学にも合格してないのになあ…

ありがとう、の言葉は合格してからでいいのに…

ってそのときの私は思っていました。

 

でも息子は結果がどうであれ、

この二浪目の生活は満足のいくものだったのかもしれません。

イケメン先生のもとで学び、

志望校受験に向けて着々と準備も整えられた。

やるだけやってだめだったのなら、

違う道に進んでもきっと大丈夫だと自分で思えたのだろう。

そのイケメン先生の指導を息子に受けさせたくて、

母は清水の舞台から飛び降りるような覚悟で

東京に出てきたのだ。

 

私は結果が欲しいとは思っていたけれども、

その一方で息子が受験にしっかり向き合えたことや、

親の思いもしっかり受けとめて感謝できる人間に成長したことを、

喜ばなくてはいけないとも思いました。

 

センター試験の日、

私は二日間とも休暇をとっていたので、

試験会場まで付き添うこともできたけれど、

息子は電車を乗り継いで、

かなり遠い試験会場まで一人で二日間通いました。

普通の受験生にとっては当たり前のことですが、

この二年間ずっと半分心を病んでいた息子にすれば、

それはとてもすごいことなのです。

玄関で見送る私に笑顔で

『いってきます』と言う息子を見て、

ああ、もう息子は大丈夫だと、

息子が出かけた後、一人で涙しました。

 

 

 

 

試験を終えて帰ってきた息子は、

あれができなかった、

ここの傾向が変わって点数が取れなかった、

とネガティブな発言ばかりで、

『ああ~やっぱり今年もダメだったかあ…笑い泣き』と思いました。

私立を数校、センターでおさえておきたかったので、

せめて現役の時と同じくらい、

700点台後半位でもいいから、

取れていたらいいなあ~と、

心の中で思いましたが、

まあ終わってしまったことはしかたがない!

二次試験に向けて頑張るしかない。

『とりあえず早く寝たら?』と私が声を掛けると、

『わかった。』と言ってその日は息子も早く寝てしまいました。

私も次の日は仕事で5時半起きなので、

いつものように早く寝てしまいました。

 

 

 

すると、真夜中に息子の、

『お母さん!』という大きな呼び声で

起こされました。

『○○○点だったよ!』

と息子は半分震えているような声で叫んでいました。

夜中に突然起こされて何のことだかわからずにいると、

『センター、○○○点だったんだよ!』

 

どうも息子は早く寝たのかと思っていたら、

やっぱり早く試験結果が知りたくて夜中に自己採点を始めたら、

思いがけず良い点数だったので興奮して私を起こしたようでした。

一浪目にとってしまった8割という点数が嘘のような、

現役時代よりもずっと良い点数を取っていました。

『これで受かるよね!絶対に受かるよね?』と、

息子は見たことがないほど興奮していて、

本当に大きなプレッシャーと戦っていたんだなと感じました。

 

国立は二次試験次第なので、

センター試験が良くてもまだどうなるかわかりません。

でも、センター試験の結果が良いということは、

大きなアドバンテージになります。

 

 

その夜、息子は朝まで眠れなかったらしくて、

私もまた喜びで胸がいっぱいになり、ほとんど眠れませんでした。

次の日も普通に仕事があったけれど、

センターの点数が良かったことが嬉しくて、

数時間しか寝ていなくてもあまり苦痛ではなかったと思います。

 

 

センター試験の結果は○台と○合塾に出しました。

志望校はどちらもA判定で、順位も一桁前半でした。

模試の結果と変わっていません。

これならばきっと大丈夫、

今年こそきっと結果が出せるはず。

あとはただ二次試験を無事に受験すること。

そう目標に定めて、また淡々と毎日を過ごしていました。